平成29年度 公害防止管理者 水質有害物質特論 問13を解説|液体クロマトグラフが指定される項目(熱に弱い農薬)
平成29年度 水質有害物質特論 問13は、検定方法として液体のまま分ける方式が定められている項目を一つ選ぶ問題です。当てはまるものを選びます。
この問題のポイント
分析法の選び分けは、その物質が熱に耐えるか、そして気体になれるかで決まります。加熱して気体にできる物質はガスクロマトグラフに載せられますが、熱で壊れてしまう物質や気体になりにくい物質は、液体を流して分ける方式に回されます。この問題は、その振り分けの原則を持っているかを問うています。分かれ目は、五つのうち一つだけが加熱で壊れやすい農薬だという点です。他にも農薬が並んでいるので「農薬だから」という括り方をすると取り違えます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)
定められている分析方式
| 選択肢 | 分析方式 | 読み解き |
|---|---|---|
| (1) | 液体クロマトグラフ系 | 熱で壊れやすいため、気化させずに液体のまま分けます。 |
| (2) | ガスクロマトグラフ系 | 揮発性が高く、気相に移して測るのに適しています。 |
| (3) | ガスクロマトグラフ系 | 抽出したのち気化させて分ける手順が採られています。 |
| (4) | ガスクロマトグラフ系 | 同じ農薬でも熱に耐えるため、気化させて測れます。 |
| (5) | ガスクロマトグラフ系 | りんに応答する検出器と組み合わせて測ります。 |
ここが分かれ目
チウラムは硫黄を含む農薬で、加熱すると壊れやすい性質があります。ガスクロマトグラフは、試料を高温の注入口でいったん気化させてからカラムへ送り込む仕組みですから、この過程で壊れてしまう物質は、そもそも装置に載せられません。壊れた断片を測ったところで元の量は分からないからです。そこで、常温の液体を移動相として流し、気化させずに分ける方式が採られます。検定方法としては、固相抽出や溶媒抽出で濃縮したうえで高速液体クロマトグラフにかける手順が定められています。
ここで押さえるべきは、名前を一つずつ暗記することではなく、熱に弱い、あるいは気体になりにくい物質は液体クロマトグラフ側という原則です。この原則さえあれば、初めて見る物質名が出てきても、その構造や性質から見当をつけられます。逆に、揮発性の高い物質は気相に移して測るほうが感度も分離もよいので、ガスクロマトグラフ系が選ばれます。溶媒に溶かして抽出したのち気化させる農薬も、熱に耐えるからこそその手順が成り立っています。
紛らわしいのは、同じ「農薬」というくくりのなかに、熱に強いものと弱いものが混在していることです。農薬だからガスクロマトグラフという覚え方をしていると、この問題では逆に引っかかります。分析法は物質のくくりではなく、物質の性質から決まる。この順序を守っておけば、他の年度で別の物質名が出ても同じ判断ができます。検出器の選び方も同じ考え方で、りんや硫黄を含む物質にはそれらに強く応答する検出器を、電気を引き付けやすい原子を含む物質にはそれに向いた検出器を組み合わせます。
覚え方
- 熱に弱い・気体になりにくい物質は液体クロマトグラフ側。
- ガスクロマトグラフは注入口で気化させる。壊れる物質は載せられない。
- 農薬でひとくくりにしない。熱への強さで方式が分かれる。
- 揮発性の高い物質は気相へ移して測るほうが感度も分離もよい。
- 検出器は測る相手で選ぶ。りんや硫黄には専用の検出器。
理解度チェック
熱で壊れやすい物質にガスクロマトグラフが使えないのはなぜか。
ガスクロマトグラフは試料を高温の注入口で気化させてからカラムへ送る仕組みだからです。この段階で分解してしまう物質は元の姿でカラムに入らず、正しく定量できません。そのため液体のまま分ける方式が用いられます。
分析方式を選ぶとき、物質のどのような性質を見るか。
熱への強さと気体になりやすさです。この二つを満たす物質はガスクロマトグラフ系、満たさない物質は液体クロマトグラフ系に振り分けられます。物質のくくり(農薬・金属など)ではなく、性質から決まります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 水質有害物質特論 問題・正解」(公式PDF)
- 環境省「排水基準を定める省令の規定に基づく環境大臣が定める排水基準に係る検定方法」(チウラムの測定方法)
※ この記事の確認日:2026年7月