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平成29年度 公害防止管理者 水質有害物質特論 問12を解説|GC/MSの装置構成と分離の基準(質量÷電荷数)

平成29年度 水質有害物質特論 問12は、気体にした成分を分けてから質量で測る装置のしくみについての正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

この装置は、分ける、つなぐ、イオンにする、質量で分ける、数える、という五つの部分が直列に並んだ構成をしています。四つの肢は各部の役割をそのまま述べたもので、装置図を思い浮かべられれば引っかかりません。分かれ目は、質量で分けるときの基準になる量の計算が、割り算ではなく掛け算に置き換えられている点です。記号の並びだけを見ると差はごくわずかですが、意味は正反対になります。マススペクトルの横軸が何であったかを思い出せれば、ここで手が止まります。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(4)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)カラムで分けられた成分が、順に質量分析計へ送り込まれます。
(2)○(正しい)ほぼ大気圧にあるカラムの出口と、高真空に保たれた質量分析計とをつなぐ部分です。
(3)○(正しい)加熱したフィラメントから出る電子を分子に当ててイオンにする方式です。
(4)×(誤り)分離の基準は質量を電荷数で割った値であり、掛けた値ではありません。
(5)○(正しい)分けたイオンを二次電子増倍管形などの検出器で数えます。

選択肢(4)のポイント(ここが誤り)

質量で分ける部分が扱っているのは、イオンが電場や磁場からどれだけ曲げられるかという物理です。同じ電場をかけたとき、重いイオンほど動かしにくく曲がりにくい。一方で、電荷を多く持つイオンほど強い力を受けて大きく曲がります。したがって軌道を決めるのは質量を電荷数で割った値であって、掛けた値ではありません。掛け算にしてしまうと、電荷が増えるほど曲がりにくいという逆の性質を持つ装置になり、そもそも分離が成り立ちません。記号の演算子ひとつの違いですが、装置の原理そのものが裏返る誤りです。

この量は、得られるスペクトルの横軸そのものでもあります。横軸は質量電荷比であり、電荷を一つしか持たないイオンであれば、その値をほぼ分子や断片の質量として読むことができます。フィラメントから出る電子を当ててイオンにする方式では、電荷一つのイオンが主に生じるため、横軸をほぼ質量として扱えます。断片の質量の並びから物質を言い当てられるのがこの装置の定性能力の源で、その前提が質量電荷比という量の定義に支えられています。

残りの部分も役割で覚えておきます。つなぐ部分は、ほぼ大気圧にあるカラムの出口と、高真空の分析計という、圧力がまったく違う二つの世界を橋渡しする役目を負っています。イオンにする部分は、加熱したフィラメントから飛び出す電子を分子に当て、電子をはじき飛ばしてイオンをつくります。この過程で分子は断片にも割れ、その割れ方が物質ごとに決まっているため、指紋のように使えます。数える部分は、飛んできたイオンを電気信号に変えて増幅する装置で、二次電子増倍管形が代表格です。五つの部分を一列に並べて、それぞれ何をしているかを言えるようにしておけば、この種の出題は落としません。

覚え方

  • 質量分離の基準は質量÷電荷数。掛け算ではない
  • 装置の並びは、分ける→つなぐ→イオンにする→質量で分ける→数える。
  • つなぐ部分の役目は、ほぼ大気圧と高真空を橋渡しすること。
  • 電子を当てる方式は電荷一つのイオンが主。横軸をほぼ質量として読める。
  • 数える部分の代表は二次電子増倍管形の検出器。

理解度チェック

Q.

質量分離部は、イオンを何に応じて分けているか。

イオンの質量を電荷数で割った値、すなわち質量電荷比に応じて分けています。重いほど曲がりにくく、電荷が多いほど大きく曲がるという関係から導かれる量で、スペクトルの横軸そのものでもあります。

Q.

GC/MSの接続部には、どのような役割があるか。

ほぼ大気圧にあるカラムの出口と、高真空に保たれた質量分析計とをつなぐ役割です。圧力が大きく異なる二つの部分を橋渡しし、分離された成分を真空側へ導きます。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 水質有害物質特論 問題・正解」(公式PDF