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平成29年度 公害防止管理者 水質有害物質特論 問14を解説|セレンを気体にして測る手順(分解の酸と還元の酸)

平成29年度 水質有害物質特論 問14は、セレンを気体の化合物に変えて原子吸光で測る手順についての穴埋め問題です。ア~ウに入る語句の正しい組合せを選びます。

この問題のポイント

手順は大きく三段に分かれます。まず強い酸で有機物を焼き切り、次に測れる酸化数までセレンを落とし、最後に気体の化合物に変えて炎に導きます。分かれ目は二つです。一つは二段目で使う酸が、一段目の分解用の酸とは役割も種類も違うという点。もう一つは、最後に導く炎の燃料を、別の方式でよく使う燃料と取り違えないという点です。どちらも「原子吸光といえばこれ」という思い込みが働きやすい場所に置かれています。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(2)

空欄に入る語句

空欄入る語句読み解き
硫酸硝酸と組み合わせて熱し、有機物を焼き切ります。高い温度を保てる酸が要ります。
塩酸六価のセレンを四価へ落とすための、塩化物イオンを含む強い酸性の場をつくります。
水素生じたセレンの水素化物を、水素とアルゴンの炎へ導いて原子に変えます。

ここが分かれ目

まず全体の流れを押さえます。

手順内容
手順1試料に酸を加えて熱し、乾く直前まで詰めて有機物を焼き切る。
手順2塩化物イオンを含む強い酸性にして加熱し、六価のセレンを四価へ落とす。
手順3放冷後、還元剤とともに水素化物発生装置へ送り、セレンの水素化物をつくる。
手順4発生した気体を炎に導き、定められた波長での吸光度からセレン量を求める。

いちばん多い取り違えが、二段目の酸を一段目と同じにしてしまうことです。有機物を焼き切るための酸と、還元の場をつくるための酸は役割がまったく違います。分解の段では硝酸だけでは途中で飛んでしまい、有機物が残ります。そこで沸点が高く高温を保てる酸を組み合わせ、乾く直前まで詰めることで分解を完了させます。一方、六価から四価へ落とす段では、塩化物イオンが存在する強い酸性の場が必要です。ここで酸化性の酸を使えば、落としたい方向とは逆に働いてしまいます。

もう一つの分かれ目が炎の燃料です。原子吸光法といえば空気とアセチレンの炎が思い浮かびますが、水素化物を導いて測る方式では水素とアルゴンの炎を使います。温度が低めで、発生した水素化物を分解して原子に変えるのに適していること、そして短い波長の領域で炎そのものによる吸収が小さく抑えられることが理由です。セレンの測定に使う波長は短い領域にあるため、この点は無視できません。選択肢のなかでアセチレンと書かれた組合せは、別の方式の記憶が紛れ込んだものです。

なぜ六価のままではいけないのかも押さえておきます。水素化物を発生させる反応は四価のセレンに対して進むもので、六価のままでは気体の化合物にならず、検出されません。加熱による還元の工程を省いたり、温度や時間を短くしたりすると、値が低く出ます。試料の前処理が結果を左右するという、分析全般に共通する構図がここにも現れています。

覚え方

  • 分解の酸と還元の酸は別物。分解は硝酸との組合せ、還元は塩化物イオンを含む酸
  • 水素化物発生法の炎は水素とアルゴン。アセチレンの炎ではない。
  • 六価のままでは水素化物にならない。四価へ落としてから測る。
  • 手順は「分解→還元→気体化→吸光」の四段。
  • 前処理を省くと値が低く出る。温度と時間は決められたとおりに。

理解度チェック

Q.

セレンの水素化物発生原子吸光法で、加熱して還元する工程を省くとどうなるか。

六価のセレンが四価に変わらないため、水素化物が発生せず検出されません。その分だけ測定値が低く出ます。温度と時間は定められたとおりに守る必要があります。

Q.

水素化物を導く方式で、水素とアルゴンの炎を使うのはなぜか。

温度が低めで水素化物を分解して原子に変えるのに適していること、そして短い波長の領域で炎そのものによる吸収が小さいことが理由です。セレンの測定波長は短い領域にあるため、この性質が効いてきます。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 水質有害物質特論 問題・正解」(公式PDF
  • 日本産業規格 JIS K 0102「工場排水試験方法」(セレンの水素化物発生原子吸光法)