平成30年度 公害防止管理者 水質概論 問10を解説|生活排水対策(下水道は処理人口の主力)
平成30年度 水質概論 問10は、家庭から出る排水を国内でどう受け止めているかについての正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
暮らしから出る排水を処理する仕組みは一種類ではなく、都市部を支えるもの、集落単位で組まれるもの、家ごとに置かれるものが地域の事情に応じて役割を分け合っています。設問は、それぞれが国民のうちどれくらいを受け持っているかを、しきい値を超えるか超えないかという形で問うています。細かい数字を覚えていなくても、どれが主力でどれが補完かという序列さえ頭に入っていれば選べます。引っかけは、その序列の一番上に置かれるべき仕組みを、あたかも脇役の側であるかのように小さく見積もっている点です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 下水道だけに頼らず、浄化槽や集落単位の施設も含めた複数の手段で整備が進められています。 |
| (2) | ○(正しい) | これらを合わせた汚水処理施設が受け持つ人口は、総人口の85%を超えています。 |
| (3) | ×(誤り) | 下水道が受け持つ人口は総人口の70%以下ではなく、70%を超えています。これが正解です。 |
| (4) | ○(正しい) | 浄化槽が受け持つ人口は、総人口の10%以下にとどまります。 |
| (5) | ○(正しい) | コミュニティ・プラントが受け持つ人口は、総人口の1%以下です。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
生活排水を処理する仕組みは、担い手の大きさで並べられます。市街地をまとめて受け持つ下水道が最も大きく、農山漁村の集落をまとめる農業等集落排水施設や、住宅団地などを単位とするコミュニティ・プラントがそれに続き、家や建物ごとに置く浄化槽が個別対応を担います。この四本を足したものが汚水処理施設の全体で、その処理人口は総人口の85%を超えています。
ここから引き算をすれば答えが見えます。全体が85%を超えているのに対し、浄化槽は10%以下、コミュニティ・プラントは1%以下です。集落排水施設の分を見込んでも、残りを埋めるのは下水道しかなく、その受持ちは総人口の70%を超えると分かります。したがって「下水道による処理人口は総人口の70%以下」という記述は、主力である下水道の受持ちを小さく見積もった誤りです。他の四つの肢が与えてくれた数字を突き合わせれば、この肢だけが辻褄に合わないことに気づけます。
もう一つ押さえておきたいのは、汚水処理施設の全体像が総人口の全部を覆っているわけではない点です。整備が及んでいない地域では、し尿だけを処理してそれ以外の生活雑排水は未処理のまま流す単独処理浄化槽や、くみ取りが残っています。生活排水対策が水質汚濁防止法に位置づけられているのは、こうした未処理の排水が公共用水域の汚濁の一因になっているからです。工場排水の規制が進んだ結果、生活系の負荷の比重が相対的に高まった、という文脈も併せて理解しておくと、この分野の他の出題にも対応できます。
覚え方
- 生活排水の受け皿は下水道・農業等集落排水施設・コミュニティ・プラント・浄化槽の四本立て。
- 受持ちの大きさは下水道が突出。全体が総人口の85%超なら、主力の下水道は70%超。
- 脇役ほど桁が小さい。浄化槽は10%以下、コミュニティ・プラントは1%以下。
- 数値を覚えていなくても、全体から脇役を引けば主力の下限が出せる。
- 汚水処理施設で覆えていない地域が残る。生活排水が水質汚濁防止法の対象になる理由。
理解度チェック
生活排水を処理する汚水処理施設には、下水道のほかにどのようなものがあるか。
浄化槽、農業等集落排水施設、コミュニティ・プラントなどです。人口の集まり方や地形によって適した方式が異なるため、下水道一本ではなく複数の手段を組み合わせて整備が進められています。
汚水処理施設全体の処理人口と、下水道による処理人口の関係を説明せよ。
汚水処理施設全体では総人口の85%を超えます。そのうち浄化槽は10%以下、コミュニティ・プラントは1%以下にとどまるため、大部分を担うのは下水道であり、下水道単独でも総人口の70%を超えます。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 水質概論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月