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平成29年度 公害防止管理者 水質概論 問9を解説|メタロチオネインは金属を捕えて毒性を和らげる

平成29年度 水質概論 問9は、水質に関わる有害物質が体の中でどう働くかについて、誤っている記述を選ぶ問題です。

この問題のポイント

この問題は、物質ごとの作用点を並べて覚えられているかを問うています。引っかけの核心は、体が金属に対して用意している防御のしくみを、毒性を後押しする側にひっくり返している点です。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(1)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)×(誤り)つくられる向きは合っていますが、働きが逆です。金属を捕まえて毒性を和らげるためのタンパク質です。
(2)○(正しい)一回で半数が死ぬ量という定義そのものが、短期の強さを測る指標であることを示しています。
(3)○(正しい)脳を守る関門をすり抜ける性質があるため、中枢神経の障害が前面に出ます。無機の水銀にはない特徴です。
(4)○(正しい)細胞が酸素を使えなくなるため、酸素が届いていても窒息と同じ状態に陥ります。
(5)○(正しい)神経の信号を切る酵素が働かなくなり、刺激が伝わりっぱなしになります。

選択肢(1)のポイント(ここが誤り)

メタロチオネインは、硫黄を含むアミノ酸を多く持つ小さなタンパク質です。この硫黄が金属イオンと強く結びつくため、カドミウム・水銀・亜鉛・銅などが体に入ると、それを抱え込んで細胞の中に閉じ込める働きをします。金属が入ってきたときにこのタンパク質が多くつくられるのは、体が守りを固めている反応であって、攻撃の準備ではありません。

誘導生合成という言葉に引きずられて、毒性を後押しする側だと読んでしまうと、防御反応と毒性発現をまるごと取り違えることになります。実際、あらかじめ少量の金属にさらされてメタロチオネインが増えている状態では、その後に多量の金属を受けても障害が出にくくなることが知られています。

ただし、守りきれる量には限りがあります。カドミウムはメタロチオネインと結びついた形で腎臓に運ばれ、そこで長く留まるため、曝露が続くと腎尿細管の障害という形で被害が現れます。結合させて無毒化するしくみは万能ではなく、蓄積の場所を決めているという側面もある、というところまで押さえておくと、選択肢の言い回しに揺さぶられません。

覚え方

  • メタロチオネインは金属を捕まえて毒性を下げる側。増えるのは守りを固めるため。
  • LD50は急性毒性の物差し。慢性側はNOAELやTDIで扱うと区別する。
  • 水銀は形で分ける。メチル水銀は血液脳関門と胎盤を通り脳へ、無機水銀は腎臓へ
  • 作用点で覚える。シアンはミトコンドリアの電子伝達系、有機りん剤はアセチルコリンエステラーゼ

理解度チェック

Q.

メタロチオネインは、体の中でどのような働きをしますか。

硫黄を含む部分で金属イオンと結合し、毒性を和らげる方向に働きます。金属が入ると多くつくられるのは防御反応で、毒性を高めるためではありません。

Q.

メチル水銀が中枢神経に強く影響するのはなぜですか。

血液脳関門を通り抜けて脳に蓄積しやすいためです。無機の水銀は関門を通りにくく、腎臓にたまって腎障害を起こす向きになります。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 水質概論 問題」(公式PDF
  • 環境省「化学物質の環境リスク評価」関係資料