平成29年度 公害防止管理者 水質概論 問8を解説|人のBOD発生原単位は桁違いに小さい
平成29年度 水質概論 問8は、水域に持ち込まれる汚れの量、すなわち水質汚濁負荷の考え方について、誤っている記述を選ぶ問題です。
この問題のポイント
この問題は、負荷量という量をどう組み立て、どこで測るかという枠組みを問うています。引っかけの核心は、人ひとりが一日に出す汚れの見積もりで、いかにもありそうな数字がまるひとつ大きく置かれています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 濃度に水の量を掛ければ、単位時間あたりの汚れの重さになります。負荷量の作り方はこれが基本です。 |
| (2) | ○(正しい) | 発生源の側で数えた量の呼び名です。まだ水域に届く前の段階を指します。 |
| (3) | ○(正しい) | 水域に届いた地点で数えた量の呼び名です。途中の処理や分解で減った分は落ちています。 |
| (4) | ×(誤り) | 一人が一日に出すBODは数十グラムの水準です。示された値は一桁大きく、現実の見積もりから外れます。 |
| (5) | ○(正しい) | 工場では水質を直接測らなくても、生産の規模を手がかりに発生量を推し量る方法が使われます。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
生活排水の負荷は、原単位に人口を掛けるという単純な形で見積もります。原単位とは、一人が一日に出す汚れの重さのことです。ここを取り違えると、地域全体の負荷量が丸ごと同じ倍率でずれ、下水道の整備計画も総量削減の目標も土台から狂います。
実際の値は、し尿と生活雑排水を合わせても数十グラム/人・日の水準にとどまります。一日に500 gものBODを一人で出すという見積もりは、現実の十倍を超える大きさで、生活排水を工場排水並みの汚濁源に仕立ててしまいます。内訳としては、し尿より台所や風呂、洗濯から出る雑排水のほうが大きく、だからこそ合併処理浄化槽や下水道の普及が生活排水対策の中心に置かれています。
あわせて押さえたいのが、負荷量の三段階です。発生源で数えた発生負荷量から、処理施設や土壌、途中の河川での分解によって減り、水域に届いた地点で数えるのが到達負荷量です。発生負荷量と到達負荷量を同じ量だと思い込むと、処理施設を整えた効果がどこにも現れない計算になります。
覚え方
- 汚濁負荷量は濃度×流量。単位は「重さ/時間」(kg/日など)になる。
- 人のBOD発生原単位=数十グラム/人・日。三桁の値が出てきたら桁を疑う。
- 順序と大小。発生負荷量 > 到達負荷量。減る分が処理や自然の浄化の効果。
- 工場側は原料単位量・製品単位量・工場出荷額を手がかりに発生量を推定できる。
理解度チェック
発生負荷量と到達負荷量は、どこが違いますか。
数える場所が違います。発生源で数えたものが発生負荷量、水系に届いた地点で数えたものが到達負荷量です。途中の処理や分解で減るぶん、到達負荷量のほうが小さくなります。
生活排水の汚濁負荷は、どのように見積もりますか。
一人一日あたりの原単位に人口を掛けて求めます。BODの原単位は数十グラム/人・日の水準で、し尿よりも台所や風呂などの生活雑排水の寄与が大きくなります。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 水質概論 問題」(公式PDF)
- 環境省「生活排水対策」関係資料
※ この記事の確認日:2026年7月