平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問27を解説|道路交通振動は中央値では評価しない
平成29年度 騒音・振動特論 問27は、車の通行によって生じる揺れを法の目安と突き合わせるときの測り方について確かめる正誤問題です。5つの記述から誤っているものを1つ選びます。
この問題のポイント
計器の条件、補正回路の選び方、測る場所、置き方までは工場の場合とほぼ同じ骨格で、素直に読める記述が並びます。分かれ目は最後の一手で、集めた測定値からどの位置の値を取り出すかという点です。車の通行による揺れは絶えず不規則に変わるため、真ん中の値では大きい側の実態が抜け落ちます。しかもその肢には、標本の取り方として正しい内容が前半に添えられています。前半が正しいと後半まで正しく見えてしまうのが、この問題の仕掛けです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 証明に使う値なので、検定に合格した計器を期限内で使うことが前提になります。 |
| (2) | ○(正しい) | 法に基づく測定は上下の向きを扱うので、補正の回路も上下向けのものを選びます。 |
| (3) | ○(正しい) | 道路そのものが発生源なので、その用地の境で測ります。工場の場合と対応する考え方です。 |
| (4) | ○(正しい) | 傾いた面やでこぼこの上では検出器が正しく地面と一緒に動かず、値が狂います。 |
| (5) | ×(誤り) | 標本の取り方は合っていますが、取り出す位置を真ん中としている点が誤りです。上端側の値を使います。 |
選択肢(5)のポイント(ここが誤り)
車の通行による揺れは、大型車が通れば大きく、小型車が続けば小さく、途切れればほとんど無くなります。この変わり方は不規則で振れ幅も大きい型にあたるので、代表値は80パーセントレンジの上端値と決められています。集めた値を小さい順に並べ、下から10パーセントと上から10パーセントを切り落とした残りの、上の端にあたる値です。おおまかにいえば、上位1割を除いた中で最も大きい値になります。
この肢は同じ標本から真ん中の値を取り出すと書いています。真ん中は上下をちょうど半分に割る位置なので、大型車が通ったときの大きな揺れがまったく反映されません。苦情の原因になっているのは通常その大きい側であり、真ん中の値で判断すれば、実際には目安を超えているのに問題なしと結論づけてしまいます。
紛らわしいのは、5秒ごとに100個という標本の取り方が正しく書かれていることです。この部分に見覚えがあると、後半も一緒に正しいものとして読み流してしまいます。標本の取り方と、そこから代表値を選ぶ規則は別の段階の話です。問題文がひと続きの文になっていても、二つに切り分けて確かめる読み方を身につけてください。工場の敷地の境で測る場合も、不規則に大きく変わる型なら同じ上端側の値を使います。判断の枠組みは共通です。
覚え方
- 車の通行による揺れの代表値は80パーセントレンジの上端値。真ん中の値ではない。
- 標本の取り方(5秒ごと・100個)と、そこから何を取り出すかは別の段階。文をふたつに割って読む。
- 測る場所は、道路ならその用地の境、工場ならその土地の境。発生源の側の境で測る。
- 補正回路は上下向け。道路でも工場でも法に基づく測定は上下の向きだけ。
- 検出器は水平でかたい面に置く。傾きややわらかい地面は値を狂わせる。
理解度チェック
同じ100個の測定値から真ん中の値を取ると、上端側の値と比べてどうなりますか。
小さく出ます。大型車の通過などによる大きい側がまるごと外れるためです。実際には目安を超えている道路を、問題なしと判定してしまう危険があります。
検出器を置く場所として避けるべきなのはどんな地面ですか。
傾いている場所、でこぼこがある場所、やわらかい場所です。地面と一体になって動かないと、実際の揺れとは違う値が出ます。かたく水平な面を選ぶことが前提になります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
- 振動規制法および同法に基づく道路交通振動の測定方法(測定場所・代表値の決め方)
※ この記事の確認日:2026年7月