平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問26を解説|ばらつく振動をどの値で評価するか
平成29年度 騒音・振動特論 問26は、変わり方の激しい揺れについて五通りの集計値が示され、規制の値を守るためにあと何デシベル下げればよいかを求める計算問題です。数値を選びます。
この問題のポイント
引き算そのものは一桁の暗算で終わります。問われているのは計算力ではなく、五つ並んだ集計値のうちどれを規制の値とぶつけるかという判断です。示された揺れは針が不規則に大きく振れる型なので、代表値の決め方も規則でその型に応じたものが指定されています。分かれ目は、目についた数値を反射的に使ってしまうこと。最大側の値や真ん中の値を取ると、そのまま用意された不正解へ落ちる作りになっています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 並べた値のちょうど真ん中を使ったときの差です。低い側に寄りすぎており、代表値としては採用されません。 |
| (2) | ×(誤り) | 単純に平均した値を使ったときの差です。大きく振れる型では平均が実態を表しません。 |
| (3) | ○(正しい) | この型で使う代表値は80パーセントレンジの上端値です。67から60を引いて7 dBとなります。 |
| (4) | ×(誤り) | レンジの幅を一段広く取り違えたときの差です。数値は用意されていますが規則の指定と違います。 |
| (5) | ×(誤り) | 山の高さをならした値を使ったときの差です。これは周期的・間欠的に変わる型で使う値です。 |
計算の手順
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 手順1 | 針の振れ方の型を見分ける。不規則で振れ幅も大きい型に当たる。 |
| 手順2 | その型に指定された代表値を選ぶ。80パーセントレンジの上端値を採る。 |
| 手順3 | 表からその値を読み取る。67 dB。 |
| 手順4 | 規制の値との差を取る。67−60=7 dB。デシベルどうしの引き算なので、エネルギーに戻す必要はない。 |
ここが分かれ目
代表値の決め方は、針の振れ方の型ごとに定められています。ほとんど動かない型ならその指示値をそのまま、周期的または間欠的に変わって山の高さがそろっている型なら山の高さを平均した値、そして不規則で振れ幅も大きい型なら80パーセントレンジの上端値です。今回は最後の型にあたるので、迷う余地はありません。
この問題の怖さは、間違った選び方のすべてに数値が用意されていることです。真ん中の値を採れば3、平均を採れば5、レンジの幅を一段広く取り違えれば9、山の高さの平均を採れば12。どれを選んでも「答えが出てしまう」ので、計算の途中で気づけません。型の判別を最初に済ませ、使う値を一つに決めてから表を見る、という順番が守りになります。
最後の引き算にも一言。デシベルどうしの足し算はエネルギーに戻す必要がありますが、「あと何デシベル下げるか」は同じ地点の同じ量の差なので、そのまま引いて構いません。ここでエネルギー合成の手順を持ち込むと、かえって答えを外します。求めた7デシベルは、対策の目標値としてそのまま設計に渡せる数値です。
覚え方
- 不規則で振れ幅の大きい揺れの代表値は80パーセントレンジの上端値。
- ほとんど動かないならその指示値、周期的で山がそろうなら山の高さの平均。型で決まる。
- 幅を広げたレンジ、単純平均、真ん中の値は、いずれもこの判断には使わない。
- 必要な低減量は代表値から規制の値を引くだけ。エネルギーに戻す操作は不要。
- 表に並んだ数値は選び分けを試す材料。先に型を判別してから読みにいく。
理解度チェック
針の振れがほとんどない場合、代表値はどう決めますか。
その指示値をそのまま使います。レンジの上端値を求める必要はありません。変わり方の型を先に見分けることが、代表値の決め方を選ぶ出発点になります。
必要な低減量を求めるとき、デシベルどうしをそのまま引いてよいのはなぜですか。
同じ地点の同じ量の差を見ているからです。二つの音源や二つの帯域を合わせるときはエネルギーに戻す必要がありますが、目標値との差を出すだけならデシベルのまま引き算できます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
- 振動規制法に基づく振動の測定方法(変動の型ごとの代表値の決め方)
※ この記事の確認日:2026年7月