平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問24を解説|感度は内蔵するおもりの重さに比例
平成29年度 騒音・振動特論 問24は、結晶に力を加えると電気が出る性質を利用した振動の検出器について、その作りと使える範囲を確かめる正誤問題です。5つの記述から誤っているものを1つ選びます。
この問題のポイント
この検出器の中身は、結晶の板とその上に載せたおもりという、きわめて単純な組合せです。揺れるとおもりが結晶を押すことで電気が出ますから、出てくる信号の大きさは押す力、すなわちおもりの重さと加速度の積で決まります。分かれ目はこの向きの取り違えで、重いおもりは信号を大きくします。同時に、重いおもりは中の共振の速さを下げるので、測れる周波数の上限が狭まります。感度と広さが引っ張り合う関係になっていることまで押さえると、5つの記述が一本の線でつながります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 小型で丈夫、広い周波数で素直な特性が得られるため、地盤の揺れを測る計器の標準的な検出部になっています。 |
| (2) | ○(正しい) | 結晶を押しつぶす向きで使う形と、横にずらす向きで使う形があり、後者は熱や取付けのひずみに強くなります。 |
| (3) | ×(誤り) | 結晶を押す力が重さに応じて増えるので、比例であって反比例ではありません。 |
| (4) | ○(正しい) | 結晶が非常に硬く、おもりも軽いため、中の共振はかなり速い側に置かれます。 |
| (5) | ○(正しい) | 共振に近づくと出力が持ち上がって平坦でなくなるため、その手前までが使える範囲になります。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
台が揺れると、上に載ったおもりは自分の慣性でその場にとどまろうとし、その差が結晶を押す力になります。力はおもりの重さと加速度の積ですから、同じ揺れでもおもりが重いほど強く押され、出てくる電気も多くなります。したがって感度は重さに比例します。この肢は反比例と書いており、感度を上げたいときの作り方をまるごと逆にしています。
ただし重くすれば良いという話にはなりません。中の共振の速さは、結晶の硬さをおもりの重さで割った値の平方根で決まります。おもりを重くすると共振が遅い側へ寄り、測れる周波数の上限が下がります。感度を4倍にしようとおもりを4倍にすれば、共振の速さは半分になります。地盤の揺れのようにゆっくりした現象を測るなら重めでよく、機械の高い周波数まで追うなら軽くする、という選び分けになります。
もう一つ実務で効くのが、取り付ける相手への影響です。検出器そのものの重さが測る対象に加わると、薄い板などでは揺れ方が変わってしまいます。感度を求めて大きな検出器を選んだために、測っている現象を自分で変えてしまうことがあります。加えて、この方式は静止した状態の加速度を測れないので、極端に遅い側にも使える下限があります。上限だけでなく下限もあると覚えておくと安全です。
覚え方
- 出力を決めるのはおもりの重さ×加速度で生まれる押す力。感度は重さに比例。
- 中の共振の速さは硬さを重さで割った値の平方根。重くすれば感度は上がるが上限は下がる。
- 使える範囲は共振の手前まで。近づくと出力が持ち上がって平坦でなくなる。
- 形は押しつぶす向きと横にずらす向きの2つ。後者は熱や取付けのひずみに強い。
- この方式は静止状態の加速度を測れない。上限だけでなく下限もある。
理解度チェック
内蔵するおもりを4倍の重さにすると、感度と共振の速さはそれぞれどうなりますか。
感度は4倍、共振の速さは半分になります。感度は重さに比例し、共振の速さは重さの平方根で決まるためです。測れる周波数の上限も半分程度まで狭まります。
薄い板の揺れを測るとき、検出器の選び方で注意することは何ですか。
できるだけ軽いものを選ぶことです。検出器の重さが対象に加わると、板の揺れ方そのものが変わってしまいます。感度を優先して大きなものを付けると、測っている現象を自分で乱すことになります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月