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平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問23を解説|摩擦式は減衰力を長く保てない

平成29年度 騒音・振動特論 問23は、ばねで支えた機械に組み合わせて使う減衰要素について、その役割と方式ごとの性質を確かめる正誤問題です。5つの記述から誤っているものを1つ選びます。

この問題のポイント

ばねは力の伝わりを断つ部品、減衰要素は振れ幅を抑えて早く収める部品で、担う役割がはっきり分かれています。方式は大きく、油の粘りを使うものと、面どうしのすべりを使うものの二つ。分かれ目は、この二つのうちどちらが時間の経過に強いかという点です。すべりを使う方式は面の状態がそのまま力になるので、削れたり汚れたりすれば力も変わります。効き方の特徴と、長い目で見た安定性を切り分けて覚えていないと、二つの性質が入れ替わった記述に気づけません。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(4)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)たたく形の加振では自由な揺れが尾を引くので、それを早く止めるのが減衰要素の仕事です。
(2)○(正しい)起動と停止のたびに固有振動数を通るため、そこで膨らむ振れ幅を許せる範囲へ抑える目的で入れます。
(3)○(正しい)油の粘りによる力は速さに応じて素直に決まるため、周波数が変わっても設計値からの外れが小さく済みます。
(4)×(誤り)すべる面が削れたり異物が入ったりして力が変わるため、長期に一定を保つことはできません
(5)○(正しい)すべりによる力は振れ幅にほとんど左右されないので、ごく小さな揺れでも同じ大きさの力が立ち上がります。

選択肢(4)のポイント(ここが誤り)

面どうしのすべりで生じる力は、押し付ける力と摩擦の係数の積です。押し付ける力はばねやボルトで決められますが、摩擦の係数は面の状態そのものです。すべりを繰り返せば表面は削れ、粉が挟まり、油分や湿気が入り込みます。すべり支承の繰返し試験では、累積の変形が進むにつれて摩擦の係数が初期の半分近くまで下がった例も報告されています。つまり、据え付けたときに合わせ込んだ値は、そのままでは続きません。

この肢はそこを「長い期間そのまま保てる」と書いています。保守を前提にしなくてよいと読める点が危険で、実際には定期的な点検と締め直し、面の清掃や部品交換が要ります。設計時にも、係数の変動幅を見込んだ余裕を取っておく必要があります。

油の粘りを使う方式と比べると、性格の違いがはっきりします。油の方式は封じ込めた液体の性質で力が決まるので、外から汚れが入りにくく、広い周波数にわたって狙いどおりの力が出ます。ただし温度で粘りが変わる点には注意が要ります。すべりの方式は構造が簡単で、振れ幅が小さいところでも力が落ちないという長所と、時間とともに値が動くという短所が裏表になっています。長所だけを覚えて短所を忘れると、この種の記述にそのまま引っかかります。

覚え方

  • ばねは伝わりを断つ役、減衰要素は共振の山を削り、たたかれた後の揺れを早く止める役
  • 油の粘りを使う方式=力は速さに比例。広い周波数で安定。温度による粘りの変化に注意。
  • すべりを使う方式=力は振れ幅にほぼ無関係。小さな揺れでも効くが、摩耗で値が変わる。
  • 面の状態で力が決まるものは、必ず点検と調整が前提になる。
  • 減衰を増やすと共振の山は下がるが、高い周波数での伝わりにくさは悪くなる。両立しない。

理解度チェック

Q.

減衰を大きくすると、防振の効きはどうなりますか。

共振の山は下がりますが、高い周波数での伝わりは増えます。減衰要素が力の通り道になるためです。共振を通過する機械では山を優先し、常時高速で回る機械では伝わりにくさを優先します。

Q.

すべりを使う方式で、据え付け後に減衰力が変わる主な原因は何ですか。

すべる面の摩耗と汚れです。粉じんや油分の付着、温度や湿度でも摩擦の係数が動きます。押し付ける力を保つボルトの緩みも原因になります。

この問題に関連する用語解説

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF
  • 国立研究開発法人 建築研究所「弾性すべり支承の繰返し加振試験(摩擦係数の低下)」(公開資料