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平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問21を解説|表面波は距離10倍で10 dB減る

平成29年度 騒音・振動特論 問21は、均質な地盤の表面を1点で揺すったときに広がる波が、離れるにつれてどう弱まるかを問う正誤問題です。5つの記述から誤っているものを1つ選びます。

この問題のポイント

弱まり方は、波面が広がることによる分と、地盤が振動のエネルギーを熱に変える分の合計で表されます。前者の効きの強さを決めるのが幾何減衰係数で、波の種類によって値が違います。分かれ目はこの係数の値を数字に落とせるかどうか。地表を這って遠くまで届く波は係数が0.5なので、距離が10倍になっても減るのは10 dBにとどまります。音の点音源で覚えた「10倍で20 dB」をそのまま持ち込むと、この肢を正しいと読んでしまいます。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(5)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)波面の広がりによる分と、地盤の材質による分を足し合わせた形で表されます。どちらか一方では実測に合いません。
(2)○(正しい)係数は周波数に比例し伝わる速さに反比例します。柔らかく遅い地盤ほど、また高い周波数ほど早く消えます。
(3)○(正しい)この分は距離そのものに比例して積み上がるので、離れるほど大きくなります。遠方を支配するのはこちらです。
(4)○(正しい)地中を球状に広がる波は係数が大きく、地表を這う波より速く弱まります。だから遠方に残るのは後者です。
(5)×(誤り)係数0.5を当てると減るのは10 dBです。20 dBは係数が1のときの値で、地表を這う波には当てはまりません。

選択肢(5)のポイント(ここが誤り)

波面の広がりによる減り方は、幾何減衰係数の20倍に距離比の常用対数を掛けた量です。距離が10倍なら常用対数は1なので、減る量は係数の20倍がそのまま出てきます。地表を這う波の係数は0.5ですから、20×0.5×1で10 dBです。この肢はそこを20 dBとしており、係数を1として計算した値になっています。

なぜ0.5なのかは、エネルギーが広がる面の形で決まります。地表を這う波は、深さ方向にはあまり広がらず、円周に沿って輪を広げるように進みます。輪の長さは距離に比例するので、単位長さあたりのエネルギーは距離に反比例し、振幅は距離の平方根に反比例します。この「平方根で効く」ことが、係数0.5の正体です。一方、地中を球状に広がる波は面積が距離の2乗で増えるため、振幅は距離に反比例し、係数は1になります。地表付近に沿う成分ではさらに速く弱まります。

この10 dBと20 dBの取り違えは、遠方の予測を実際の2倍の勢いで小さく見積もることになります。工場から数十メートル離れた住宅で、計算では十分に下がるはずが実測では下がらない、という食い違いはここから生まれます。地盤振動の苦情が遠くまで届きやすいのは、遠方に残るのが係数の小さい波だからです。音の距離減衰と混ぜないよう、振動では係数の値を先に決めてから計算に入る習慣をつけてください。

覚え方

  • 波面の広がりによる減り=20×係数×log(距離比)。距離10倍なら係数の20倍だけ減る
  • 地表を這う波の係数は0.5。10倍で10 dB。地中を球状に広がる波は係数1で20 dB。
  • 地盤の内部で失われる分は距離に比例して積み上がる。遠方を決めるのはこちら。
  • 内部で失われる度合いは周波数に比例、伝わる速さに反比例。高い周波数ほど早く消える。
  • 遠くまで残るのは地表を這う波。公害振動の主役はこれ。

理解度チェック

Q.

地表を這う波が支配的な地点で、距離が100倍になると何dB減りますか。

約20 dBです。常用対数が2になるので、20×0.5×2で求まります。地盤の内部で失われる分は別途これに加わります。

Q.

同じ地盤で、高い周波数の成分と低い周波数の成分はどちらが遠くまで届きますか。

低い周波数の成分です。地盤の内部で失われる度合いが周波数に比例するため、高い成分ほど早く消えます。遠方では低い成分だけが残ります。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF