平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問19を解説|伝達率1/3から固有振動数を逆算する
平成29年度 騒音・振動特論 問19は、毎分の回転数と質量が与えられた機械を4点で支え、基礎へ伝わる力の割合を3分の1に抑えるために必要な支持ばね1個の硬さを求める計算問題です。数値を選びます。
この問題のポイント
減衰のない支持系では、伝わる割合と振動数比が一対一で対応します。ですから割合から比を逆算し、比から固有振動数を出し、固有振動数からばねの硬さへ戻せば答えにたどり着きます。分かれ目は最後の割り算で、求まるのは系全体の硬さであって1点あたりではありません。支持点は並列に荷重を受け持つので、全体の値を支持点の数で割るひと手間が要ります。ここを飛ばすと、ちょうど選択肢に用意されている4倍の値を選んでしまいます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 4個合わせて約1 MN/mとなり、固有振動数は約5 Hz。加振10 Hzとの比が2になって割合が3分の1に収まります。 |
| (2) | ×(誤り) | 固有振動数が約7.1 Hzまで上がり、比が√2をわずかに下回ります。抑えるどころか、ほぼ素通しの状態です。 |
| (3) | ×(誤り) | 固有振動数が約8.7 Hzになり、割合は3倍以上へ跳ね上がります。方向が逆です。 |
| (4) | ×(誤り) | 固有振動数が約10 Hzで加振と一致します。共振点そのもので、最も避けたい設計です。 |
| (5) | ×(誤り) | 固有振動数が約11.3 Hzで加振より上になり、共振の手前側で4倍以上に増幅されます。 |
計算の手順
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 手順1 | 加振の速さをHzに直す。1分間に600回の割合で回り、1回転につき1回の力が出るので、600÷60=10 Hz。 |
| 手順2 | 割合から振動数比を逆算する。減衰なしなら 割合=1÷|1−(f/f0)2|。1/3の逆数3に1を足して(f/f0)2=4、よって f/f0=2。 |
| 手順3 | 必要な固有振動数を出す。f0=10÷2=5 Hz。 |
| 手順4 | 系全体のばね定数へ戻す。f0=(1/2π)√(k/m) を変形して k=m(2πf0)2=1000×(2π×5)2≒9.87×105 N/m。 |
| 手順5 | 支持点1個あたりに割る。4個が並列に受け持つので 9.87×105÷4≒2.47×105 N/m=約0.25 MN/m。 |
ここが分かれ目
まず絶対値の外し方に注意が要ります。伝わる割合が1を下回っている時点で、振動数比は√2を超えた側にいると決まります。ですから絶対値は「比の2乗から1を引く」向きで外します。逆向きに外すと比の2乗が1−3=−2という平方根の取れない値になり、そこで手が止まります。止まらずに符号を落として先へ進むと、まったく別の数値が出てしまいます。
もう一つは支持点の数え方です。4個のばねはそれぞれが機械を下から支えており、電気回路でいえば並列の関係にあります。並列なら硬さは足し算になるので、系全体の値は1個の値の4倍です。ここを直列と取り違えると4倍の1.00 MN/mを選んでしまい、しかもその値は共振点そのものなので、現場に持ち込めば最悪の結果になります。選択肢にきちんと用意されているのが怖いところです。
単位の扱いも一度で決めておくと楽です。質量をkg、ばね定数をN/mでそろえれば、固有振動数はそのままHzで出ます。答えはMN/mを求められているので、最後に106で割ります。105のけたで止めると、けた違いの数値を選ぶことになります。
覚え方
- 毎分の回転数は60で割ればHz。割合の逆数に1を足せば振動数比の2乗。
- 1/3なら比は2、1/9なら比は約3.2。よく出る組合せは暗記しておく。
- ばね定数は k=m(2πf0)2。質量が大きいほど、また固有振動数が低いほど柔らかいばねでよい。
- 支持点は並列。全体の硬さ=1個の硬さ×個数。求めた全体値を個数で割って答える。
- 柔らかくする方向が正解。硬い値を選んだら共振に近づいていないか必ず確かめる。
理解度チェック
同じ機械を8点で支えるとしたら、ばね1個の硬さはどうなりますか。
半分の約0.12 MN/mになります。必要な全体の硬さは変わらず、それを8個で分け合うためです。点数が増えるほど1個は柔らかくなります。
求めた固有振動数が加振の速さより高くなったら、その設計はどう判断しますか。
防振として成立していません。振動数比が1を下回るので、伝わる力はむしろ増えます。ばねを柔らかくするか質量を増やして、固有振動数を加振の半分以下まで下げる必要があります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月