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平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問18を解説|共振点の伝達率は1では済まない

平成29年度 騒音・振動特論 問18は、ばねで支えた機械から基礎へ伝わる力の割合が、加振の速さとばね側の固有振動数の比によってどう変わるかを問う正誤問題です。5つの記述から誤っているものを1つ選びます。

この問題のポイント

減衰要素がない支持系では、伝わる割合は二つの振動数の比だけで決まり、式は「1から比の2乗を引いた値の絶対値」の逆数という単純な形になります。ですから5つの肢は、この一本の式に数値を入れて確かめるだけで片が付きます。分かれ目は分母が消える点の扱い。比がちょうど1になると分母が0になり、割合は際限なく大きくなります。ここを1のままだと思っていると、支持を入れれば少なくとも悪化はしないという誤った安心につながります。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(2)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)比が小さいと2乗はさらに小さく、分母がほぼ1になります。ゆっくりした加振はそのまま素通しになります。
(2)×(誤り)分母が0になる点なので、割合は1どころか限りなく大きくなります
(3)○(正しい)2乗が2になるので分母の絶対値がちょうど1となり、割合は1に戻ります。防振の効き始めの境目です。
(4)○(正しい)境目を越えると分母の絶対値が1を上回り、割合は1を切ります。ここから先が防振の領域です。
(5)○(正しい)2乗は100なので分母は99、割合はおよそ0.01まで下がります。十分に防振が効いた状態です。

選択肢(2)のポイント(ここが誤り)

加振の速さがばね側の固有振動数にそろった状態が共振です。減衰を持たない理想の系では、このとき分母がぴったり0になり、伝わる割合はいくらでも大きくなり得るという結論になります。実際の機械にはゴムや油や取付部の摩擦が必ずあるので無限にはなりませんが、それでも数倍から十数倍に膨らむのが普通です。この肢は、そこを1のまま素通りできるかのように書いています。

支持を入れれば必ず伝わりが減る、という思い込みが最も危険です。柔らかいばねに載せ替えたのに揺れがひどくなったという話は、たいてい固有振動数を運転域に持ち込んでしまったために起きています。防振が効くのは比が√2を超えてからで、それより手前の領域では支持がむしろ増幅器として働きます。比が1に近い設計は、起動と停止のたびに共振域を通過することも意味します。

だから設計の順序は、まず運転時の加振振動数を押さえ、それに対して固有振動数を十分低く取ることになります。目安として比を3程度まで広げれば割合は8分の1ほどに下がります。どうしても共振域を通らざるを得ない機械では、通過を素早く済ませるか、ダンパを併用して山の高さを抑えます。式のうえでも、減衰を加えると分母が0にならないので、共振点の値が有限に収まります。

覚え方

  • 減衰なしの伝わる割合は1÷|1−(振動数比)2。分母が0になる点が共振。
  • 効き始めは振動数比が√2。そこまでは支持がかえって揺れを増やす。
  • 割合が1に戻る点は二つだけ。比が0のときと√2のとき。
  • 割合の逆数に1を足せば振動数比の2乗。1/3なら比は2、1/9なら比は約3.2。
  • 共振点の高さを決めるのは減衰だけ。ダンパは共振対策の道具であって防振の主役ではない。

理解度チェック

Q.

伝わる割合を1/9にしたいとき、振動数比はいくつ必要ですか。

およそ3.2です。割合の逆数9に1を足すと比の2乗が10になり、その平方根が答えになります。

Q.

柔らかいばねに載せ替えたのに揺れが増えるのはどんなときですか。

振動数比が√2を下回っているときです。この範囲では支持が増幅器として働きます。とくに比が1付近だと共振となり、大きく増幅されます。

この問題に関連する用語解説

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF