平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問16を解説|単発騒音暴露レベルの基準時間は1秒
平成29年度 騒音・振動特論 問16は、地域の音をどう言い表しどう測るかを定めた国内規格の中身に関する正誤問題です。5つの記述から誤っているものを1つ選びます。
この問題のポイント
この規格は用語の決め方と現場での測り方を一冊にまとめたもので、出題は定義文の細部をわずかにずらして正誤を問う形が定番です。分かれ目になるのは、エネルギーをならして詰め込む先の基準時間。単発で起きる音を一つの数値にまとめる量は、実際の鳴っていた長さが何秒であっても、いったん1秒間の定常音に置き換えた大きさで表します。この基準を10秒や1分と覚えていると、他の4つが素直に正しいだけに、取り違えたまま通り過ぎてしまいます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 国際規格の1982年版を土台としてまとめられた国内規格で、対応関係は規格本体に明記されています。 |
| (2) | ×(誤り) | 置き換える先の定常音の長さを10秒としている点が誤りです。基準となる長さは1秒と決められています。 |
| (3) | ○(正しい) | その地点・その時刻に耳へ届く音をまるごと指す言い方で、暗騒音も残留騒音もここから何かを差し引いて定義されます。 |
| (4) | ○(正しい) | 建物への影響を調べるときは、音が当たっている壁のすぐ手前に測定点を取るのが原則です。 |
| (5) | ○(正しい) | 風向や上空との気温差で音の曲がり方が変わり、離れるほどその効果が積み重なります。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
単発騒音暴露レベルは、一度きりの音が持つエネルギーを全部かき集め、それを長さ1秒の定常音に詰め直したときのレベルとして定義されます。定義式のなかで割り算の相手になる基準時間は1秒で固定されており、これは測る側が選べる値ではありません。ですから、実際に3秒鳴った音でも0.2秒で終わった音でも、行き先の器はいつも1秒の箱です。
この肢は器の大きさを10秒にすり替えています。基準時間を10倍にすると、同じ音でも数値が10 dB小さく出ます。定義の一語を入れ替えただけで、以後の計算がすべて一律にずれる型の誤りです。等価騒音レベルとの関係式でもこの基準時間が効いてきます。単発の音がある時間の中で何回か起きるとき、その時間の等価騒音レベルは、単発騒音暴露レベルに回数分の底上げを足し、時間の長さで割り戻して求めます。基準時間を取り違えたまま換算すると、回数の効き方まで丸ごと狂います。
覚え方としては、「単発の音は1秒の箱に詰め替える」と一本化するのが早道です。等価騒音レベルは平均をとる時間そのものが基準になるのに対し、単発騒音暴露レベルは基準が1秒に固定されている、という対比で押さえると混ざりません。
覚え方
- 単発の音のエネルギーを詰め替える先は長さ1秒の定常音。実際に鳴った長さは関係なし。
- 等価騒音レベルの基準は測定時間そのもの。単発騒音暴露レベルの基準は1秒で固定。
- 総合騒音は全部、暗騒音は着目した音を除いた残り、残留騒音は識別できる音を全部除いた残り。
- 建物への影響を見る測定は、音が当たっている壁面のすぐ前で行う。
- 気象の影響は距離が延びるほど効く。遠距離の予測値には条件を書き添える。
理解度チェック
同じ音について、基準時間を1秒から10秒に取り違えると数値はどう動きますか。
10 dB小さく出ます。エネルギーを割る相手が10倍になるためです。定義の一語を間違えるだけで、以後の換算がすべて同じ幅でずれます。
建物が受ける音の影響を確かめるとき、測定点はどこに取りますか。
音が当たっている外壁のすぐ手前です。ほかに定めがなければ、壁面から1〜2 mほどの範囲に測定点を取ります。敷地の真ん中や屋上ではありません。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
- 日本産業規格 JIS Z 8731「環境騒音の表示・測定方法」(単発騒音暴露レベルの基準時間1秒、建物周辺の測定位置、総合騒音・暗騒音・残留騒音の定義)
※ この記事の確認日:2026年7月