平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問15を解説|回数と時間から等価騒音レベルへ
平成29年度 騒音・振動特論 問15は、とぎれとぎれに繰り返す音について、1回ぶんの大きさと発生の頻度から、1時間ならしたときの値を求める計算問題です。近い値を選びます。
この問題のポイント
1回ぶんの大きさを表す量は、その1回に含まれる音のエネルギーを、1秒間続く定常な音に置き換えたときのレベルとして決められています。つまり与えられた数値は「1秒ぶんのエネルギー」の目盛りです。あとは回数を掛けて総量にし、対象とする時間の秒数で割り直せば、ならした値が出ます。分かれ目は、基準が1秒だと押さえておくことと、割り算の相手を秒で数えることの2点です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 68 dB。240回ぶんのエネルギーを3600秒で割り直した計算結果68.2 dBに一致します。 |
| (2) | ×(誤り) | 71 dB。回数と秒数の比を2倍に見積もった場合の値で、約3 dB高く出ています。 |
| (3) | ×(誤り) | 74 dB。同じ比を4倍に取った場合にあたり、約6 dB高すぎます。 |
| (4) | ×(誤り) | 77 dB。比を8倍に取った場合にあたり、約9 dB高く出ています。 |
| (5) | ×(誤り) | 80 dB。1回ぶんの値をそのまま答えたもので、繰り返しの回数も対象時間の長さも反映されていません。 |
計算の手順
ここでは、1回ぶんの大きさを表す量が基準時間1秒の定常音に置き換えたレベルであるという定義(JIS Z 8731)と、そこから導かれる関係 LAeq,T=LAE+10 log(N/T) を使います。基準時間1秒という値は問題文には示されていない外部の規定です。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 手順1 与えられた値の意味 | 80 dB は、1回ぶんのエネルギーを1秒続く定常音に置き換えたときのレベルです。時間の長さがすでに1秒に正規化されている点が要です。 |
| 手順2 回数を数える | 1分間に4回で、それが1時間続くので 4×60=240回 です。 |
| 手順3 対象時間を秒に直す | 1時間は3600秒です。基準が1秒なので、割る相手も秒で数えなければつじつまが合いません。 |
| 手順4 補正量を出す | 10 log(240/3600)=10 log(1/15)=−10 log 15=−11.8 dB です。log 15=1.176 を使います。 |
| 手順5 足し合わせる | 80−11.8=68.2 dB となり、選択肢では68が最も近い値です。 |
ここが分かれ目
最初のつまずきは、与えられた値を音が鳴っている間の大きさだと読むことです。この量はすでに1秒ぶんのエネルギーに換算された値なので、鳴っている時間の長さを別に掛ける必要はありません。実際の1回が0.5秒でも3秒でも、この値さえ分かれば計算は同じ形で進みます。
次が単位です。回数はそのまま数え上げればよいのですが、割る相手は分ではなく秒でなければなりません。1時間を60として計算すると、答えは約18 dBも高く出てしまいます。基準時間が1秒であることと、割り算の相手を秒にすることは同じ一つの約束です。
知っておくと速いのが、答えが発生の割合だけで決まるという性質です。1分間に4回という頻度が変わらない限り、対象を1分にとっても1時間にとっても結果は同じになります。実際、1分で計算しても 80+10 log(4/60)=68.2 dB と同じ値です。この見方ができれば、対象時間の長さに惑わされずに済みます。
覚え方
- 1回ぶんの大きさを表す量は基準時間1秒に換算した値。鳴っていた長さは掛けない。
- ならした値は、1回ぶん+10 log(回数÷対象秒数)。
- 割る相手は必ず秒。1時間なら3600。
- 答えは発生の割合だけで決まる。1分で計算しても1時間で計算しても同じ。
- 回数が2倍になれば約3 dB増、10倍で10 dB増。頻度と値の関係は対数で効く。
理解度チェック
1回の音が実際に鳴っている時間は、この計算のどこで使いますか。
使いません。1回ぶんの大きさを表す量が、すでに1秒続く定常音へ換算された値だからです。鳴っていた長さの情報はその中に取り込まれています。
同じ音の発生が1分あたり8回に増えると、ならした値はどう変わりますか。
約3 dB上がります。回数が2倍になるとエネルギーの総量も2倍になり、対象時間が同じならレベルは 10 log 2 = 約3 dB増えます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
- JIS Z 8731「環境騒音の表示・測定方法」(単発騒音暴露レベルの基準時間1秒)
※ この記事の確認日:2026年7月