平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問13を解説|差し引いてから合成する
平成29年度 騒音・振動特論 問13は、帯域ごとの測定値と、追加する構造がもつ帯域ごとの効き目が表で与えられ、対策後に敷地の境で読める値を求める計算問題です。近い値を選びます。
この問題のポイント
作業は2段階です。まず帯域ごとに効き目を引き算し、次にその9つの値をエネルギーの形に戻して合計し、もう一度デシベルへ直します。順序を入れ替えて先に合成してから効き目を引くと、帯域ごとに効き目が違う以上、正しい値にはなりません。合成のときは単純な足し算ではなく、大きい帯域から順に重ねていく手順を使います。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 43 dB。帯域ごとに引き算してから合成した値43.3 dBに一致します。対策前の65 dBから約22 dB下がった計算です。 |
| (2) | ×(誤り) | 46 dB。下がり幅が19 dBにとどまる値で、効きの大きい高い帯域の寄与を過小に見ています。 |
| (3) | ×(誤り) | 49 dB。下がり幅16 dB相当で、全体を支配する高い帯域の効き目27~31 dBと釣り合いません。 |
| (4) | ×(誤り) | 52 dB。下がり幅13 dB相当。9つの帯域のうち、これほど効き目が小さいのは最も低い側の2帯域だけです。 |
| (5) | ×(誤り) | 55 dB。下がり幅10 dB相当で、9つの帯域のうち大きい側の効き目をほとんど反映していない値です。 |
計算の手順
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 手順1 帯域ごとに引く | 低い側から順に、31、33、37、37、35、33、32、31、21 dB が対策後の値になります。最も大きかった高い側の帯域が、効き目も大きいため一気に下がります。 |
| 手順2 大きい順に並べる | 37、37、35、33、33、32、31、31、21 と並べ替えます。合成は大きい方から重ねると誤差が出にくくなります。 |
| 手順3 同じ値どうしを重ねる | 37と37は同じ大きさなので3 dB増えて40になります。ここに35を重ねると差5 dBで約1.2増え、41.2になります。 |
| 手順4 残りを順に重ねる | 33を重ねて41.8、もう一つの33で42.4、32で42.8、31で43.0、もう一つの31で43.3。最後の21は差が20 dB以上あり、ほとんど効きません。 |
| 手順5 選択肢に当てる | 合成の結果は43.3 dB です。選択肢では43が最も近く、これが答えになります。 |
ここが分かれ目
まず外せないのが順序です。対策前の9つを先に合成すると65 dB になりますが、そこから効き目の平均値を引くという処理は成り立ちません。帯域によって効き目が5 dBから36 dBまで開いており、平均で代表させると実態からずれます。引き算は帯域ごと、合成はその後、という順序を崩さないことが第一です。
次に効くのが、合成のときにデシベルをそのまま足してしまう誤りです。デシベルは対数なので、同じ大きさの音を2つ重ねても増えるのは3 dBだけです。差が5 dBなら約1.2 dB、10 dBなら約0.4 dB、20 dBも開けばほとんど効きません。この目安を覚えておくと、電卓なしでも十分な精度で足し合わせられます。
検算に使えるのが、合成結果は最大の帯域より数dB高い範囲に収まるという性質です。今回は最大が37 dB なので、答えは37から数dB上の範囲、つまり40台前半にしかなりません。この見当だけで、50前後の候補はすべて外れると判断できます。
覚え方
- 順序は帯域ごとに引いてから合成。合成してから平均の効き目を引かない。
- 同じ大きさを2つ重ねると3 dB増。差5 dBで約1.2、差10 dBで約0.4。
- 差が20 dB以上開いた帯域は無視してよい。
- 合成の結果は必ず最大の帯域より上、かつ数dB以内に収まる。
- 効き目の大きい帯域ほど、対策後は全体への寄与が小さくなる。順位が入れ替わる。
理解度チェック
先に9つの帯域を合成してから効き目を引くとなぜまずいのですか。
効き目が帯域ごとに大きく違うからです。一つの代表値で引くと、効きの大きい帯域と小さい帯域の差が消えてしまい、実際の値からずれます。
合成した結果がおよそ正しいかを、その場で確かめる目安は何ですか。
結果が最大の帯域の値より上で、そこから数dB以内に収まっているかを見ます。今回は最大が37 dBなので、40台前半という見当が立ちます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月