平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問12を解説|上下限は中心周波数から計算できる
平成29年度 騒音・振動特論 問12は、周波数分析に使う二種類の帯域について、中心の周波数と通す範囲の対応が正しい行を選ぶ問題です。正しいものを選びます。
この問題のポイント
表の数値は覚えるものではなく、中心の周波数から計算できます。オクターブは周波数が2倍になる幅を指し、中心はその上下限の相乗平均に置かれます。したがって下限は中心の約0.71倍、上限は約1.41倍です。幅を3分の1にした側は、上下限の比が2の3乗根の約1.26なので、下限は約0.89倍、上限は約1.12倍になります。この4つの倍率を当てはめれば、5行すべてをその場で検算できます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(正しい記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 中心31.5 Hz。幅の広い側の上限は約44.5 Hzで、示された50 Hzは上に外れています。幅の狭い側の28~35.5 Hzは合っています。 |
| (2) | ×(誤り) | 中心125 Hz。幅の広い側の90~180 Hzは妥当ですが、狭い側の下限は約111 Hzで、示された100 Hzは下に外れています。 |
| (3) | ○(正しい) | 中心500 Hz。広い側は354~707 Hz、狭い側は445~561 Hzで、示された355~710と450~560にどちらも一致します。 |
| (4) | ×(誤り) | 中心2000 Hz。広い側の1400~2800 Hzは妥当ですが、狭い側の下限は約1780 Hzで、示された1600 Hzは下に外れています。 |
| (5) | ×(誤り) | 中心8000 Hz。広い側の上限は約11300 Hzで、示された12500 Hzは上に外れています。狭い側の7100~9000は合っています。 |
計算の手順
ここで使う倍率は、オクターブが周波数比2の幅を指すという定義から出る数値です。√2=1.414、2の6乗根=1.122という数学上の値だけで導けます。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 手順1 幅の広い側の倍率 | 上限と下限の比が2で、中心はその相乗平均です。下限は中心を√2で割った0.707倍、上限は√2を掛けた1.414倍になります。 |
| 手順2 幅の狭い側の倍率 | 上限と下限の比は2の3乗根の1.26です。中心はやはり相乗平均なので、下限は2の6乗根で割った0.891倍、上限は1.122倍になります。 |
| 手順3 中心500 Hzで確かめる | 広い側は 500×0.707=354、500×1.414=707。狭い側は 500×0.891=445、500×1.122=561。表の値とよく合います。 |
| 手順4 外れる行を見つける | 中心31.5 Hzの広い側は 31.5×1.414=44.5、中心8000 Hzの広い側は 8000×1.414=11300。いずれも表の上限より小さく、この2行は外れます。 |
| 手順5 残りの行も当てる | 中心125 Hzの狭い側の下限は 125×0.891=111、中心2000 Hzでは 2000×0.891=1782。どちらも表の下限より大きく、これで残る2行も外れます。 |
ここが分かれ目
この設問がやさしく見えて外しやすいのは、片方の列だけを見て正誤を決めてしまうためです。外れた4行はいずれも、二つの列のうち一方が正しく、もう一方だけがずらされています。片側が合っていた時点で丸を付けると、そのまま引っかかります。行ごとに両方の列を必ず確かめるという手続きが要ります。
もう一つの注意は、ずらされ方が上にも下にもある点です。上限を大きめに書いた行と、下限を小さめに書いた行が混在しており、どちらか一方の癖を覚えて済ませられない作りになっています。倍率を掛けて比べるという素直な手順が、結局いちばん速くて確実です。
覚え方としては、幅の広い側で下限が約0.7倍、上限が約1.4倍という感覚を持っておけば十分です。数字の並びが1.4と0.7で覚えやすく、狭い側は約0.9倍と約1.1倍と、中心のすぐ両側だと押さえておけます。
覚え方
- オクターブ=周波数比2の幅。中心は上下限の相乗平均。
- 幅の広い側は中心の0.71倍から1.41倍まで。
- 幅を3分の1にした側は中心の0.89倍から1.12倍まで。
- 表の数値は暗記せず、倍率を掛けてその場で作る。
- 行の正誤は両方の列を確認してから決める。片側だけ合わせた誤りが定番。
理解度チェック
中心が1000 Hzのとき、幅の広い側が通す範囲はおよそいくつですか。
およそ710 Hzから1410 Hzです。中心に0.71倍と1.41倍を掛けて求めます。
中心の周波数が上下限のちょうど真ん中の値にならないのはなぜですか。
周波数の軸を比で見るためです。中心は上下限を掛け合わせて平方根を取った値に置かれるので、算術の平均より低い側になります。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月