平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問10を解説|マイクロホンは向きを選ばない
平成29年度 騒音・振動特論 問10は、騒音計を定めた二つの日本工業規格に共通して置かれている事項を並べ、当てはまらないものを選ぶ正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
ここで出てくる二つの規格は、片方が測定器そのものの仕様を定めたもの、もう片方が取引や証明に使う機器を定めたもので、性能の区分や重み付けの種類など骨組みはほぼ共通しています。引っかけは音を拾う部分の性質で、環境の音を測る器械はあらゆる向きから来る音に等しく応じることが前提です。向きによって感度を変える型があると書かれていれば、そこが外れます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 規格が求めるのは、あらゆる入射方向の音に等しく応じることです。向きを絞る型の区分は置かれていません。 |
| (2) | ○(正しい) | 性能の区分は2段階で置かれており、狙いの値は同じでも許される誤差の幅や使える温度の範囲が異なります。 |
| (3) | ○(正しい) | 刻々の値を出す量と、一定時間ならしてエネルギーで平均した量が、いずれも測る対象として定められています。 |
| (4) | ○(正しい) | 耳の感じ方に近づける重み付けと、低い音まで平らに近く拾う重み付けが、いずれの規格にも置かれています。 |
| (5) | ○(正しい) | 応答の速い側と遅い側の2種類が定められ、時定数はそれぞれ0.125秒と1秒です。 |
選択肢(1)のポイント(ここが誤り)
この肢は、音を拾う部分に向きによって感度が変わる型があると述べています。放送や録音の世界では、狙った方向だけを拾うマイクロホンが当たり前に使われるため、その知識が持ち込まれると自然に読めてしまいます。
しかし環境の音を測る場面では、音が来る向きはあらかじめ分かりません。工場の音、道路の音、反射して回り込んでくる音がすべて重なった状態を数値にする必要があるため、どの向きから来ても同じ大きさに読める性質が求められます。規格でも、定められた周波数の範囲ですべての入射方向に対して等しい応答を示すことが設計上の目標として置かれており、向きを絞る型は選択肢として用意されていません。
実務でも、この性質があるからこそ測定者はマイクロホンの向きに神経を使わずに済みます。逆にいえば、風防を外したまま強い風にさらしたり、測定者の体で音の道すじをふさいだりすると、向きを選ばない性質が崩れて値が狂います。器械の向きより、周囲に反射物や遮るものを置かないことのほうが実際には重要です。
覚え方
- 環境測定用のマイクロホンはどの向きからも等しく拾う。向きを絞る型は規格外。
- 性能の区分は2段階。狙いの値は同じで、許される誤差と使用温度範囲が違う。
- 時間の重み付けは速い側と遅い側の2つ。時定数は0.125秒と1秒。
- 周波数の重み付けは耳に近づける側と低音まで平らに近い側。
- 測定量は刻々の値と、時間でならした平均の2本立て。
理解度チェック
環境の音を測るマイクロホンが向きを選ばない設計なのはなぜですか。
現場では音の来る向きが定まらないからです。直接届く音と反射して回り込む音が重なった状態を数値にする必要があり、向きで感度が変わると測定値が向け方しだいで動いてしまいます。
応答の速い側と遅い側の時間の重み付けは、それぞれ時定数がいくつですか。
速い側が0.125秒、遅い側が1秒です。変動の激しい音を追いたいときは速い側、動きをならして読みたいときは遅い側を使います。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
- JIS C 1509-1「電気音響-サウンドレベルメータ(騒音計)-第1部:仕様」(マイクロホンの応答、クラス区分、時間重み付けの時定数)
- JIS C 1516「騒音計-取引又は証明用」
※ この記事の確認日:2026年7月