1. HOME
  2. 過去問解説
  3. 騒音・振動特論
  4. 平成29年
  5. > 問8 隣室へ届く音を下げる手立て

平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問8を解説|効かない対策は向きが逆の一つ

平成29年度 騒音・振動特論 問8は、壁1枚を隔てた隣の部屋に届く音を静める手立てを並べ、効き目が見込めないものを選ぶ問題です。

この問題のポイント

音は、機械から出る、機械のある部屋に溜まる、壁を通り抜ける、隣室に溜まる、という順で届きます。並んだ手立てはこの経路のどこかを細くするもので、音源側・壁そのもの・受け手側のどの持ち場に働くかで整理できます。分かれ目は、壁の性能を表す量が大きいほど通しにくいのか通しやすいのかという1点で、この向きを取り違えると逆向きの操作を有効な対策だと読んでしまいます。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(5)(効き目が見込めない記述)

各選択肢の正誤

選択肢効き目理由
(1)○(見込める)音源を囲えば部屋へ出ていく音の量そのものが減るため、その先の経路すべてが同時に楽になります。
(2)○(見込める)音の消え際が短くなるのは吸音が増えた結果で、部屋に溜まる音が減り、壁に当たる音も小さくなります。
(3)○(見込める)受け手側で吸う力を増やすと、壁から入ってきた音が反射で溜まらず、部屋の中のレベルが下がります。
(4)○(見込める)壁が重くなるほど音では揺すりにくくなり、質量則にしたがって通り抜ける音が減ります。
(5)×(見込めない)壁の性能を表す量を下げる操作は、壁を通しやすくすることに等しく、隣室の音はかえって増えます。

選択肢(5)のポイント(ここが誤り)

壁の遮音性能を表すこの量は、入ってきた音の勢いに対して通り抜けた音がどれだけ弱まったかをデシベルで書いたものです。値が大きいほど通り抜けにくく、小さいほど通り抜けやすい、という向きになります。したがってこの値を下げる操作は、対策どころか壁に穴を広げるのと同じ方向の変更です。

この肢が紛らわしいのは、他の4つが「小さくする」「大きくする」という言葉づかいで並んでおり、量の名前を見ずに操作の向きだけで読み流すと違和感が出にくいからです。消え際の長さは短くするほど良く、吸う力と壁の重さは大きくするほど良い。同じ調子で読むと、この肢の「小さくする」も良いことのように見えてしまいます。量の名前ごとに、大きいと良いのか小さいと良いのかを結びつけて覚えることが、この種の設問への備えになります。

なお、壁の遮音性能を上げる方向の手立ては、重くする以外にも、二重にして間に空気層を設ける、隙間や貫通部をふさぐ、といったものがあります。とくに配管まわりの隙間は面積が小さくても通り抜ける音の量が大きく、壁全体の性能を頭打ちにする原因になります。

覚え方

  • 経路は3つの持ち場。音源を囲う・壁を強くする・受け手側で吸う
  • 壁の遮音性能を表す量は大きいほど良い。下げる操作は対策ではない。
  • 消え際の長さは短いほど良い、吸う力は大きいほど良い、壁の重さは大きいほど良い。
  • 受け手側の吸音は壁の性能を変えないが、室内に溜まる音を減らす。
  • 隙間・貫通部は面積が小さくても全体を支配する。ふさぐ手当てを最優先に。

理解度チェック

Q.

機械のある部屋の消え際を短くすると、なぜ隣室が静かになりますか。

消え際が短いのは吸音が増えた結果で、部屋に溜まる音が減ります。壁に当たる音そのものが小さくなるため、通り抜ける音も減ります。

Q.

受け手側の部屋に吸音材を貼ると、壁の遮音性能は変わりますか。

変わりません。壁の性能はそのままで、入ってきた音が室内で反射して溜まるのを抑える効果です。持ち場が違うだけで、室内を静かにする手立てとしては有効です。

平成29年度 公害防止管理者 過去問解説 一覧へ

出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF