平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問7を解説|必要な面密度から厚さを出す
平成29年度 騒音・振動特論 問7は、工場の建屋にある出入口の開口をシートで覆い、外へ漏れる音を10 dB落とすとき、必要な厚さを求める計算問題です。近い値を選びます。
この問題のポイント
ふさぐ面がもとの開口と同じ広さで、室内側の音の状態も変わらないので、外へ出る音の下がり幅はシート1枚の遮音性能そのものになります。したがって目標の10 dBをそのまま遮音性能として式に入れるのが出発点です。式から求まるのは重さの面あたりの値なので、最後に密度で割って厚さへ直します。高さと幅の数値は最後まで使いません。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 0.1 mm。面あたりの重さは0.125 kg/m2にとどまり、与えられた式に入れると遮音性能は負の値になって目標に遠く届きません。 |
| (2) | ×(誤り) | 0.2 mm。0.25 kg/m2に相当し、計算上の遮音性能はまだ0 dBにも達しません。 |
| (3) | ×(誤り) | 0.5 mm。0.625 kg/m2で、得られる遮音性能は約5 dBです。目標の半分ほどで足りません。 |
| (4) | ○(正しい) | 1 mm。1.25 kg/m2となり、与えられた式にそのまま入れると遮音性能はちょうど10 dBになります。 |
| (5) | ×(誤り) | 2 mm。約15 dBが得られる厚さで目標は満たしますが、必要最小の厚さを問われているので過大です。 |
計算の手順
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 手順1 目標を性能に置き換える | ふさぐ面積がもとの開口と同じで室内の音も変わらないため、外へ出る音の下がり幅=シートの遮音性能です。必要な値は10 dBとなります。 |
| 手順2 式を整理する | 与えられた式に10 dBを入れると 18 log(mf)−44=10 です。移項して 18 log(mf)=54 とします。 |
| 手順3 対数を外す | 両辺を18で割ると log(mf)=3 です。対数が3ということは、中身が1000であることを意味します。よって mf=1000 です。 |
| 手順4 面あたりの重さを出す | 周波数は800 Hzなので、m=1000÷800=1.25 kg/m2 が必要な値になります。 |
| 手順5 厚さへ直す | 面あたりの重さは密度×厚さです。1.25÷1250=0.001 m、つまり1 mmとなります。ここで初めて密度の数値を使います。 |
ここが分かれ目
この問題で最初に決めるべきは、開口の高さと幅を使うのかどうかです。ふさぐ面積は開口とまったく同じで、面あたりの重さは面積によらない量なので、寸法は答えに一切効きません。与えられた数値をすべて使おうとして面積を掛けると、そこから先の計算がすべてずれます。
次のつまずきが単位の扱いです。密度は立方メートルあたりの重さ、面あたりの重さは平方メートルあたりの重さで、両者を結ぶのが厚さです。割る向きを逆にすると桁が三つずれて、選択肢のどれにも合わない値になります。最後にメートルからミリメートルへ直す一手も忘れやすい箇所です。
さらに、この式は面あたりの重さと周波数の積だけで性能が決まる形をしています。周波数が2倍になれば同じ厚さでも約5 dB性能が上がり、逆に低い音ほど厚さが要ります。実際の現場でシートが低音に弱いのは、この関係がそのまま効いているためです。
覚え方
- 開口を同じ面積でふさぐなら、下がり幅=ふさいだ材料の遮音性能。
- 面あたりの重さは面積に無関係。開口の寸法は使わない数値。
- 面あたりの重さ=密度×厚さ。厚さを出すときは密度で割る。
- 対数を外す手順を固定する。18で割って log の値にしてから真数へ戻す。
- この形の式では面あたりの重さと周波数の積だけが効く。低音ほど不利。
理解度チェック
開口の高さと幅は、この計算のどこで使いますか。
使いません。ふさぐ面積が開口と同じであれば、必要なのは面あたりの重さで、これは面積によらない量だからです。
同じシートで周波数が400 Hzだった場合、遮音性能はどうなりますか。
約5 dB下がります。この式では面あたりの重さと周波数の積が対数の中に入っているので、周波数が半分になると 18 log 2 = 約5.4 dB分だけ性能が落ちます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月