平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問6を解説|面積で重みを付けるのは透過率の側
平成29年度 騒音・振動特論 問6は、性能の違う部分が混じった仕切り壁について、全体としての透過率をどう書くかを問う問題です。正しいものを選びます。
この問題のポイント
壁を抜けて隣室へ届く音の量は、部分ごとに「そこを抜ける割合×その部分の面積」を計算し、すべて足したものです。これを壁全体の面積で割れば、壁を1枚の均質な板とみなしたときの抜ける割合になります。分かれ目は、重みを付ける相手は面積で、平均される対象は抜ける割合という向きを取り違えないことです。抜ける割合はもともと単位のない数なので、面積で割ったり掛けたりしたまま答えにすると単位が合わなくなります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(正しい記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | Σ(τi/Si)。面積で割っているため単位が面積の逆数になり、単位のない量である透過率になりません。 |
| (2) | ×(誤り) | Στi/ΣSi。分子に面積の重みが付いていないため、狭い部位と広い部位が同じ扱いになり、単位も合いません。 |
| (3) | ×(誤り) | Στi Si。抜ける音の量そのもので、全体の面積で割る操作が抜けています。壁が広いほど値が増えてしまいます。 |
| (4) | ○(正しい) | Στi Si/ΣSi。抜ける音の量の合計を、壁全体の面積で割った形で、面積の重み付き平均になっています。 |
| (5) | ×(誤り) | Στi・ΣSi。割るところを掛けており、部位の数や壁の広さが増えるほど際限なく大きくなります。 |
ここが分かれ目
迷ったときに一番効くのが、全部位が同じ性能だったらどうなるかを当てはめる検算です。すべての部位で抜ける割合が同じなら、壁全体の値もその同じ値でなければおかしいはずです。正解の形にそろえて代入すると、分子から共通の値がくくり出され、面積の合計どうしが約分されて元の値が残ります。他の形はどれも面積の合計が残ったり逆数になったりして、同じ性能の壁なのに違う答えが出るという矛盾に落ちます。
次に効くのが単位の確認です。抜ける割合は単位のない数なので、答えの式も単位のない形でなければなりません。面積で割ったままの形や、面積を掛けたままの形は、この一点だけで落とせます。
もう一つ、実務でよくある誤りが、部分ごとの遮音性能をデシベルのまま平均してしまうことです。デシベルは対数なので、単純に足して割ると隙間や薄い部分の効きが埋もれてしまいます。抜ける割合に直してから面積の重みを付けて平均し、その平均値を最後にデシベルへ戻す、という順序が必要です。狭いドアや小さな隙間が壁全体の性能を決めてしまう現象は、この順序で計算して初めて見えてきます。
覚え方
- 平均するのは抜ける割合、重みは面積。デシベルのまま平均しない。
- 形は「面積を掛けて足す÷面積を足す」。分母を書き忘れると量になってしまう。
- 検算は全部位を同じ性能に置くこと。同じ値に戻らない式は誤り。
- 抜ける割合は単位なし。面積が残る式・面積の逆数が残る式は候補から外す。
- 面積が小さくても抜ける割合が桁違いに大きい部位は全体を支配する。隙間・扉に注意。
理解度チェック
壁全体の遮音性能を出すとき、部分ごとのデシベル値を平均してはいけないのはなぜですか。
デシベルが対数の量だからです。抜ける割合に直してから面積の重みを付けて平均し、最後にデシベルへ戻します。そうしないと、薄い部分や隙間から抜ける音の効きが小さく見積もられます。
式の形に迷ったとき、その場でできる確かめ方は何ですか。
すべての部位を同じ性能に置いて代入します。壁全体の値も同じ値に戻らなければ、その式は誤りです。単位が残るかどうかの確認も同時にできます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月