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平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問5を解説|残響時間から室定数へ

平成29年度 騒音・振動特論 問5は、三辺の寸法と音の消え際の長さが与えられた部屋について、室定数を求める計算問題です。近い値を選びます。

この問題のポイント

音の消え際の長さは、部屋の広さと、壁や床がどれだけ音を吸うかで決まります。ここから逆算して吸音力を出し、それを内側の表面積で割れば平均吸音率が求まります。室定数はその一段先にある量で、吸音力を、吸わずに跳ね返る割合で割り戻した値です。分かれ目は最後の割り戻しを忘れないことと、部屋の表面積を6面すべて数えることの2点にあります。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(4)

各選択肢の正誤

選択肢正誤理由
(1)×(誤り)9 m2。この室の吸音力は約54 m2で、室定数がそれを下回ることはないため成り立ちません。
(2)×(誤り)19 m2。同じく吸音力より小さく、割り戻す前の値としても小さすぎます。
(3)×(誤り)38 m2。表面積を6面ぶん数えず半分で計算した場合に近づく側の値で、吸音力にも届きません。
(4)○(正しい)76 m2。吸音力54 m2を、跳ね返る割合0.71で割り戻した値と一致します。
(5)×(誤り)152 m2。この大きさになるには平均吸音率が0.6を超える必要があり、与えられた消え際の長さから出る0.29と合いません。

計算の手順

ここでは、消え際の長さと吸音力を結ぶ式 T=0.161V/A(セイビンの残響公式)と、室定数の定義 R=Sα/(1−α) を使います。係数0.161は問題文には示されていない外部の値で、常温の空気中の音速を前提とした標準的な定数です。

手順内容
手順1 表面積を出す向かい合う面が3組あるので、7×6、6×4、4×7 を足して2倍します。42+24+28=94、2倍して S=188 m2 です。
手順2 体積を出す7×6×4=168 m3 です。表面積と取り違えないよう、単位で確かめながら進めます。
手順3 吸音力を逆算するA=0.161V/T に入れて、0.161×168÷0.5=54.1 m2 を得ます。音が0.5秒で消えるほど吸われている、という情報がここで面積の形に変わります。
手順4 平均吸音率を出す吸音力を表面積で割ります。54.1÷188=0.288 です。1を超えたら計算違いなので、ここでも確認できます。
手順5 室定数へ直すR=Sα/(1−α) に入れます。54.1÷(1−0.288)=54.1÷0.712=76.0 m2 となり、選択肢の76に一致します。

ここが分かれ目

最も多い取りこぼしは、手順4で止めて吸音力の値をそのまま答えにすることです。吸音力と室定数は単位が同じ平方メートルで、数字の大きさも近いため見分けがつきにくくなります。両者を分けるのは最後の割り戻しで、跳ね返る側の割合で割るぶん、室定数は必ず吸音力より大きくなります。

この大小関係は検算にそのまま使えます。吸音力が約54 m2と分かった時点で、それより小さい候補は計算するまでもなく外れると判断できます。残る2つのうち、上振れした値は平均吸音率が0.6を超える部屋を意味し、0.5秒という消え際の長さと釣り合いません。

もう一つの落とし穴が表面積です。6面すべてを数えることを忘れて3面ぶんで割ると、平均吸音率が2倍近くに膨らみ、室定数も大きく狂います。三辺の積を3つ足したら必ず2倍する、と手順で固定しておくと安全です。

覚え方

  • 消え際の長さから吸音力へは A=0.161V/T。体積を使う点に注意。
  • 平均吸音率は吸音力÷表面積。表面積は向かい合う3組を足して2倍。
  • 室定数は吸音力を(1−平均吸音率)で割り戻した値。必ず吸音力より大きい
  • 吸音力と室定数はどちらも単位が m2。名前で区別せず割り戻しの有無で区別する。
  • 平均吸音率が1に近い部屋ほど室定数は跳ね上がる。0.3前後なら室定数は吸音力の約1.4倍。

理解度チェック

Q.

吸音力と室定数のどちらが大きくなりますか。

必ず室定数のほうです。室定数は吸音力を1より小さい値で割り戻した量なので、平均吸音率がゼロでない限り吸音力を上回ります。

Q.

同じ部屋で吸音材を増やして消え際が短くなると、室定数はどう動きますか。

大きくなります。消え際が短いほど吸音力が大きく、平均吸音率も上がるため、割り戻しの効果も重なって室定数は増えます。室定数が大きい部屋ほど反射で溜まる音が少なくなります。

この問題に関連する用語解説

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF
  • セイビンの残響公式 T=0.161V/A、及び室定数の定義 R=Sα/(1−α)(音響工学の標準的な定義による)