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平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問4を解説|周波数が半分になると減音量はどう動くか

平成29年度 騒音・振動特論 問4は、塀を立てて音を回り込ませたときの効き目が、周波数を下げるとどれだけ変わるかを求める計算問題です。近い値を選びます。

この問題のポイント

塀の効き目は、音源から受音点までの最短距離と、塀の頂部を越えて回り込む道のりとの差で決まります。この差は塀の高さや位置で決まる長さなので、周波数を変えても値は動きません。動くのは波長のほうで、周波数が半分になれば波長は2倍です。分かれ目は、効き目は行路差そのものではなく、行路差が波長の何個分にあたるかで決まる点にあります。低い音ほど波長が長く、同じ塀でも回り込みを止めにくくなります。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(2)

各選択肢の正誤

選択肢正誤理由
(1)×(誤り)14 dB。6 dB分下がると見た値で、点音源が距離2倍で弱まるときの下がり幅を持ち込むと出てきます。
(2)○(正しい)17 dB。波長が2倍になって行路差の波長換算が半分になり、効き目が約3 dB下がった値です。
(3)×(誤り)20 dB。効き目が周波数によらないと考えた値ですが、同じ塀でも低い音ほど回り込まれます。
(4)×(誤り)23 dB。周波数を下げると効きが増すという逆向きの見立てで、増減の向きが反対です。
(5)×(誤り)26 dB。向きが反対なうえ変化幅も倍に見積もった値で、二重に外れています。

計算の手順

ここでは、行路差 δ を波長 λ で測った値 N=2δ/λ(フレネル数)と、点音源に対する回折減衰の実験式 ΔL=10 log(3+20N) を使います。いずれも問題文には示されていない外部の式で、騒音防止技術の教科書で標準的に用いられるマエカワの整理によるものです。

手順内容
手順1 動かない量を決める音源・塀・受音点の位置関係は変わらないので、行路差 δ は前後で同じ値です。動くのは波長だけだと決めてしまいます。
手順2 高い方のNを逆算する500 Hz での効き目20 dB を実験式に入れます。20=10 log(3+20N) から 3+20N=100、よって N=4.85 です。
手順3 波長の変化を反映する周波数が500 Hz から250 Hz へ半分になると波長は2倍です。N=2δ/λ の分母が2倍になるので、N は半分の 2.43 になります。
手順4 効き目を計算する3+20×2.43=51.5 で、10 log 51.5=17.1 dB です。選択肢では17 dB が最も近い値になります。
手順5 概算で裏を取るN が大きい領域では 3 が小さく効くため ΔL は概ね 10 log(20N) に近づきます。N が半分になれば 10 log 2=3.0 dB 下がるので、20−3=17 dB と暗算でも同じ答えに届きます。

ここが分かれ目

最大の落とし穴は、周波数を下げれば静かになるという日常感覚を持ち込むことです。ここで問われているのは音の大きさではなく塀の効き目で、低い音ほど塀を回り込みやすく、効き目は小さくなります。増減の向きを逆に取ると、選択肢(4)や(5)へまっすぐ吸い込まれます。

もう一つは、行路差そのものが効き目を決めると考えてしまう読み違えです。効き目を決めるのは行路差を波長で割った値なので、同じ塀でも周波数ごとに効き目が違うという性質が生まれます。低い音まで抑えたい現場では、塀を高くして行路差を稼ぐか、音源側を囲うかという判断になります。

覚えておくと速いのが、Nが半分になれば効き目は約3 dB落ちるという関係です。1オクターブ下がるごとに約3 dBずつ効きが減るので、実験式を思い出せなくても選択肢を1つに絞れます。

覚え方

  • 塀の効き目を決めるのは行路差そのものではなく行路差を波長で測った値
  • 周波数が半分=波長2倍=フレネル数は半分。効き目は約3 dB低下。
  • 低い音ほど回り込む。塀は高音向き、低音は苦手。
  • 点音源の回折減衰は 10 log(3+20N)。Nが大きければ 10 log(20N) で足りる。
  • 効きを増やしたいなら塀を高くするか音源に近づける。どちらも行路差を稼ぐ手。

理解度チェック

Q.

同じ塀で周波数を1オクターブ上げると、効き目はどう変わりますか。

波長が半分になってフレネル数が2倍になるため、効き目は約3 dB増えます。塀は高い音に強く、低い音に弱いという性質のあらわれです。

Q.

低い周波数まで効かせたいとき、塀のどこを見直しますか。

高さを増やすか、音源または受音点に近づけて設置します。どちらも回り込む道のりと最短距離の差を大きくする手で、フレネル数を稼げます。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF
  • 点音源に対する回折減衰の実験式 ΔL=10 log(3+20N)、及びフレネル数 N=2δ/λ(騒音防止技術の標準的な整理による)