平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問25を解説|減衰比1が揺れるかどうかの境目
平成30年度 騒音・振動概論 問25は、ばねで支えられた物体が一方向にだけ動く最も単純な振動モデルについての正誤問題です。誤っている記述を選びます。
この問題のポイント
ばねのつなぎ方、固有振動数の決まり方、揺れの収まり方、共振の起こり方と、防振設計の土台になる論点が一通り並んでいます。分かれ目は揺れながら収まるか、揺れずに戻るかを分ける境目がどちら側にあるかで、そこだけ向きが逆に書かれています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 直列につなぐと同じ力が全部のばねにかかって伸びが積み上がるため、全体は柔らかくなり、逆数どうしの足し算になります。 |
| (2) | ○(正しい) | 固有振動数はばね定数を質量で割った値の平方根で決まるので、ばね定数の平方根に比例します。 |
| (3) | ×(誤り) | 減衰比が1以上では振動せずにそのまま釣り合い位置へ戻ります。行き来しながら収まるのは1より小さいときです。 |
| (4) | ○(正しい) | 減衰がなければエネルギーを吸うものがないため、振動数の比が1に一致した瞬間に振幅倍率は際限なく大きくなります。 |
| (5) | ○(正しい) | 減衰があると振幅が最大になる振動数は固有振動数より低い側へずれるため、共振の起こる位置は一致しません。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
減衰比は、その系にどれだけブレーキが効いているかを表す目安で、1がちょうど境目になります。1より小さければブレーキが足りず、物体は釣り合い位置を行き過ぎては戻ることを繰り返し、振幅を減らしながら収まります。教科書で減衰自由振動として描かれる、だんだん小さくなる波形はこの状態です。
これに対して減衰比が1以上になると、物体は釣り合い位置を通り過ぎることなく、片側からじりじりと戻るだけになります。ちょうど1のときが最短時間で戻る状態で、それより大きくなるとブレーキが効きすぎて戻りが遅くなります。いずれにしても行ったり来たりは起きないので、この選択肢は境目の向きを取り違えています。
身近な例では、自動で閉まる扉の緩衝装置がこの働きです。効きが弱いと扉は枠にぶつかって跳ね返り、何度か揺れてから止まります。効きを強めていくと、ある強さから先は跳ね返らずに静かに閉まりきるようになります。揺れ返しが出るのは減衰が足りない側という感覚を持っておけば、境目の向きで迷うことはありません。
覚え方
- ばねは直列で柔らかく(逆数の和)、並列で硬く(そのまま和)。
- 固有振動数はばね定数の平方根に比例し、質量の平方根に反比例。硬いほど高く、重いほど低い。
- 減衰比1が揺れる・揺れないの境目。1より小さいときだけ振動しながら収まる。1以上は揺れずに戻る。
- 減衰なしの共振は振幅倍率が無限大。減衰を入れると倍率は有限になり、共振点も低い側へずれる。
- 防振では固有振動数を加振振動数よりぐっと低くする。柔らかいばね+重い質量が基本の向き。
理解度チェック
減衰比がちょうど1のとき、物体はどのように動きますか。
振動せずに、最も短い時間で釣り合い位置へ戻ります。行き過ぎて戻る動きは現れません。1より小さいときだけ、揺れを繰り返しながら収まります。
防振ゴムを柔らかいものに替えると、固有振動数はどうなりますか。
低くなります。固有振動数はばね定数の平方根に比例するためです。加振する振動数から遠ざけることが防振の狙いになります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月