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平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問23を解説|補正が引かれない帯域に入る組合せが勝つ

平成29年度 騒音・振動概論 問23は、上下方向の正弦波の揺れを二つずつ重ねた五つの組合せを比べ、人にとって最も大きく感じられるものを選ぶ問題です。

この問題のポイント

五つの組合せは、どの成分も加速度が実効値でそろえてあります。物理量としては全部が横並びで、差がつく余地は人の感じ方を織り込む重み付けだけです。上下方向の重み付けは山なりの形をしており、頂点にあたる帯域では値がそのまま通り、そこから1オクターブ離れるごとにおよそ6デシベルずつ差し引かれます。したがって、二つの成分がそろって頂点の帯域に収まる組合せが最も高い値になり、頂点から離れた成分を抱える組合せほど不利になります。加速度がそろっているなら、勝負は補正の量だけで決まるという見通しが立てば、細かい計算をしなくても答えの見当がつきます。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(3)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)×(誤り)両方とも頂点より遅い側にあり、2成分とも差し引かれます。合成しても約55デシベルにとどまります。
(2)×(誤り)片方は頂点に入りますが、もう片方は1オクターブ下で差し引かれ、合成は約61デシベルです。
(3)○(正しい)2成分とも平坦な頂点の帯域に収まり、差し引きがありません。合成は約63デシベルで最大です。
(4)×(誤り)頂点の上端と1オクターブ上の組で、(2)と鏡写しの関係になり、合成も約61デシベルで同じです。
(5)×(誤り)両方とも頂点より速い側で、深く差し引かれます。合成は約55デシベルにとどまります。

計算の手順と分かれ目

手順内容
手順1補正をかける前の値をそろえる。与えられた加速度は1 cm/s2、すなわち10-2 m/s2。基準の10-5 m/s2で割ると1000倍で、20 log をとると60デシベル。どの成分も同じ値になる。
手順2上下方向の重み付けを各成分に足す。頂点にあたる4〜8ヘルツは0デシベルで素通し、そこから1オクターブ離れるごとにおよそ6デシベルずつ差し引かれる。
手順3補正後の値を並べる。(1)は48と54、(2)は54と60、(3)は60と60、(4)は60と54、(5)は54と48(デシベル)。
手順42成分をエネルギーで合成する。差が0なら3デシベル、6なら約1デシベルの上乗せ。合成値は(1)約55、(2)約61、(3)約63、(4)約61、(5)約55となり、最大は(3)。

手順2が分かれ目です。人が上下の揺れをいちばん敏感に感じるのは4〜8ヘルツの帯域で、測定に用いる重み付けもここを平坦な頂点に作ってあります。頂点を外れると、遅い側でも速い側でも同じように差し引かれるので、頂点の両端をぴたりと押さえた組合せが独走します。実際、頂点に片足だけ掛けた二つの組合せは、遅い側から掛けても速い側から掛けても同じ値になります。この対称性に気づけば、五つのうち三つは互いに比べるまでもなく脱落すると分かります。

手順4のエネルギー合成も、慣れれば暗算で済みます。同じ大きさの成分が二つあれば合わせて2倍のエネルギーになり、レベルは約3デシベル上がります。片方が6デシベル低ければエネルギーは4分の1ですから、合計は1.25倍で約1デシベルの上乗せにとどまります。レベルの足し算は大きいほうに寄るという性質を押さえておけば、細かい対数計算は要りません。今回は(3)だけが3デシベルまるまる上乗せされる組合せなので、頂点に収まっている効果と合わせて二重に有利になります。

なお、規格に定められている重み付けの実際の値は、ここで使った切りのよい数字とわずかに違います。頂点は4.5ヘルツあたりでごくわずかに持ち上がり、1ヘルツでは6デシベルほど、31.5ヘルツでは12デシベルほど差し引かれる形です。厳密な値で計算し直しても順位はまったく変わらず、(3)が最大という結論は動きません。試験の場では、頂点は4〜8ヘルツ、外れたら1オクターブごとに6デシベル、と割り切って構いません。

覚え方

  • 加速度がそろっていれば、勝敗は重み付けだけで決まる。まず補正の位置を見る。
  • 上下方向の頂点は4〜8ヘルツ。外れると1オクターブごとに約6デシベル引かれる。
  • 基準の加速度は10-5 m/s2。1 cm/s2なら補正前は60デシベル。
  • 同じ大きさを二つ足すと約3デシベル、6デシベル差なら約1デシベルの上乗せ。
  • 頂点から等しく離れた組合せは同じ値になる。対称性で候補を減らす。

理解度チェック

Q.

実効値で1 cm/s2の加速度をもつ揺れは、補正をかける前で何デシベルか。

60デシベルです。10-2 m/s2を基準の10-5 m/s2で割ると1000倍になり、その常用対数を20倍すると60になります。

Q.

同じ大きさの成分を二つ重ねると、レベルは何デシベル上がるか。

約3デシベルです。エネルギーが2倍になり、その常用対数を10倍するとおよそ3になります。振動数が違っても同じ扱いです。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題・正解」(公式PDF
  • 日本産業規格 JIS C 1510「振動レベル計」(振動感覚補正特性・鉛直特性、基準の振動加速度)