平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問22を解説|いちばん速い瞬間に加速はゼロ
平成29年度 騒音・振動概論 問22は、きれいな正弦波で往復する揺れについて、位置と速さと加速の関係を並べた問題です。誤りのある記述を選びます。
この問題のポイント
揺れを表す量は三つあります。どこまで動いたかを表す位置、どれだけ速く動いているかを表す速さ、そしてどれだけ強く引き戻されているかを表す加速です。正弦波の場合、この三つは4分の1周期ずつずれて山を迎えるという決まった関係にあります。時間で微分するたびに山の位置が4分の1周期ぶん前へ進むためで、位置と加速に至っては半周期ずれる、つまり山と谷が入れ替わった形になります。設問はこの関係を四つの角度から言い換えて並べ、ひとつだけ同時に山を迎えると読ませる記述を紛れ込ませています。振り子やブランコの動きを思い浮かべれば、体感としてもすぐに検算できる内容です。端で加速が最大、中央で速さが最大という一枚の絵を持っていれば取りこぼしません。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 中央を通過する瞬間がいちばん速い状態で、そこでの速さの大きさが最大になります。 |
| (2) | ○(正しい) | 端まで振れ切った瞬間に引き戻す力が最も強く働き、加速の大きさも最大になります。 |
| (3) | ○(正しい) | 位置の山の高さに、1秒あたりの往復回数と円周率の2倍を掛けた値が速さの山になります。 |
| (4) | ×(誤り) | いちばん速い瞬間は中央を通るときで、そのとき加速はゼロです。同時に最大にはなりません。 |
| (5) | ○(正しい) | 正弦波はどの量も山の高さを2の平方根で割った値が実効値になります。三つとも同じ扱いです。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
ブランコに乗っている場面を思い出してください。いちばん高く上がった瞬間、体はいったん止まります。速さはゼロですが、そこから引き戻される力は最大です。逆に最下点を通り抜ける瞬間は最も速く、しかしそのとき体は真下へ引かれているだけで、進行方向には押されも引かれもしていません。速さが最大になる場所と、加速が最大になる場所は、行程のちょうど反対側にあります。両方が同時に最大になるという主張は、この往復運動の骨格そのものを壊しています。
式で追っても同じ結論になります。位置が正弦の形なら、速さはそれを時間で微分した余弦の形、加速はさらに微分した負の正弦の形です。余弦が最大になるのは正弦がゼロのときですから、速さが最大の瞬間には位置がゼロであり、加速も位置に比例する量なのでゼロになります。加速は位置に負の比例をする量という性質は、揺れの分野で何度も使う道具です。この比例の係数は、1秒あたりの往復回数に円周率の2倍を掛けた値の2乗になっており、同じ振れ幅でも速い揺れほど加速が桁違いに大きくなる理由もここにあります。
この関係が分かっていると、正しい三つの記述も丸暗記から解放されます。速さの山は、位置の山に「1秒あたりの往復回数と円周率の2倍を掛けた値」を掛けたもの。加速の山は、そこにもう一度同じ値を掛けたもの。微分するたびにこの値が一つずつ増えていくだけの単純な構造です。単位で確かめても、位置に毎秒の回数を掛ければ毎秒あたりの長さになり、もう一度掛ければ毎秒毎秒あたりの長さになります。
実効値の扱いも、三つの量で共通です。きれいな正弦波であれば、二乗して時間平均した値の平方根は必ず山の高さの2の平方根ぶんの1になります。波形が正弦であるかぎり、量の種類によらず同じ比率が使えるので、加速の実効値から速さの実効値へ、あるいは位置の実効値へと、山の高さを経由せずに直接換算できます。測定器が示すのはたいてい実効値ですから、この比率を押さえておくと計算問題の見通しが一気によくなります。
覚え方
- 端で加速が最大、中央で速さが最大。二つは同時に山を迎えない。
- 位置・速さ・加速は4分の1周期ずつずれる。位置と加速は山と谷が入れ替わる。
- 微分するたびに「1秒あたりの往復回数と円周率の2倍を掛けた値」が一つ増える。
- 加速は位置に負の比例。速い揺れほど同じ振れ幅でも加速が大きい。
- 正弦波なら実効値はどの量も山の高さの2の平方根ぶんの1。
理解度チェック
往復する揺れで、速さがいちばん大きい瞬間の加速はどうなっているか。
ゼロです。速さが最大になるのは中央を通る瞬間で、そのとき位置がゼロなので、位置に比例する加速もゼロになります。
振れ幅が同じでも、速い揺れのほうが加速が大きくなるのはなぜか。
1秒あたりの往復回数が2回ぶん掛かるからです。位置から加速へ移るのに微分を二度行うため、往復回数の2乗で効いてきます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月