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平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問21を解説|家屋の増幅は向きと速さで変わる

平成29年度 騒音・振動概論 問21は、揺れが暮らしに与える影響について、一般に言われている事柄を並べた問題です。誤りのある記述を選びます。

この問題のポイント

公害としての揺れが問題になるのは、地面が揺れるからではなく、その揺れが住まいに伝わって暮らしを乱すからです。したがって影響を語るときは、地盤から建物へ、建物から人へ、という二段の受け渡しを意識する必要があります。建物は地盤の揺れをそのまま通すのではなく、増幅したり抑えたりする箱で、その働きの度合いは揺れの速さや向きによって大きく変わります。設問は、この受け渡しの部分を一定だと言い切って誤りを作っています。ほかに並ぶのは、眠りへの影響、揺れを音で気づく経験、苦情の中身、そして仕事のはかどりに響く水準の話で、いずれも正しい内容です。建物は一定の倍率で揺れを通す装置ではないという一点を握っておけば、迷わず選び分けられます。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(5)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)眠りの深さの段階によって目覚めやすさが違うため、同じ揺れでも妨げ方が変わります。
(2)○(正しい)戸や食器が鳴る音が引き金となり、体で感じる前に揺れに気づくことがあります。
(3)○(正しい)道路を通る車による揺れでは、眠りを妨げられたという訴えが苦情の中で目立ちます。
(4)○(正しい)手元が狂うほどの揺れは、公害として問題になる水準よりかなり強い場合に生じます。
(5)×(誤り)建物はばねの集まりなので、増幅の度合いは向きと揺れの速さで変わります

選択肢(5)のポイント(ここが誤り)

木造の住まいを思い浮かべると分かりやすくなります。床は根太と大引きで支えられた板で、部屋の広さや梁の渡し方によってたわみやすさが違います。地盤が上下に揺れると、この床が自分の揺れやすい速さのところで大きく共振し、地面よりも大きく上下します。逆に、床が追随できないほど速い揺れが来れば、床はほとんど動きません。同じ地盤の揺れでも、部屋によって、また揺れの速さによって、伝わり方は何倍もの幅で変わります。増幅の度合いが一定だという主張は、この共振の存在を丸ごと無視しています。

向きによる違いも同じ理屈です。上下の揺れに対して効くのは床のたわみですが、横の揺れに対しては柱と壁でできた骨組み全体が振り子のように応じます。骨組みが揺れやすい速さは床がたわむ速さよりも遅い側にあるのが普通で、しかも家全体が同じ向きに傾く動きになるため、二階では一階よりも大きく揺れます。上下の増幅は部屋ごと、横の増幅は階ごとという感覚を持っておくと、現場で苦情を聞き取るときにも役立ちます。同じ家の中で「二階だけひどい」「この部屋だけ食器が鳴る」といった訴えが出るのは、増幅が一定でないことの何よりの証拠です。

この性質は、対策の考え方にも直結します。地盤側で揺れを弱めるのが本筋ですが、それが難しい場合には建物側で共振を避ける手も取られます。床の下に支えを足して揺れやすい速さを移す、あるいは重量を加えて動きにくくするといった手当てで、共振の山から外すことで体感を下げるわけです。増幅が一定であればこうした工夫は成り立ちません。

誤り以外の記述のうち、苦情の中身については補足しておく価値があります。揺れの苦情で訴えられるのは、多くの場合は健康被害そのものではなく、眠りを妨げられること、家が傷むのではないかという不安、そして戸や食器が鳴る煩わしさです。揺れは音と違って遮る手立てが乏しく、家の中に居場所がないという感覚を生むため、大きさの割に強い不快感につながります。仕事のはかどりに響く水準の揺れは、乗り物や作業機械に乗って受けるような、公害として議論される範囲よりずっと強い揺れで問題になります。

覚え方

  • 建物は揺れを一定倍で通す箱ではない。共振する速さで大きく増幅する。
  • 上下は床のたわみ、横は骨組みの傾き。効く仕組みが違うので増幅も違う。
  • 同じ家でも部屋や階で揺れ方が変わる。苦情の聞き取りではここを確かめる。
  • 眠りへの影響は眠りの深さの段階で変わる。同じ揺れでも一律ではない。
  • 仕事のはかどりに響くのは、公害として扱う水準よりかなり強い揺れ。

理解度チェック

Q.

同じ地盤の揺れなのに、家の中で場所によって揺れ方が違うのはなぜか。

床や骨組みが共振するからです。部屋の広さや梁の渡し方で揺れやすい速さが変わるため、増幅の度合いが場所ごとに異なります。

Q.

体で感じる前に揺れに気づくことがあるのはなぜか。

戸や食器が鳴る音が先に届くからです。軽くて留め方の緩いものは小さな揺れでも動くため、音が揺れの知らせ役になります。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題・正解」(公式PDF