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平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問20を解説|共振する速さは姿勢と向きで変わる

平成29年度 騒音・振動概論 問20は、揺れを受けたときに人の体で何が起きているかを扱う問題です。誤りのある記述を選びます。

この問題のポイント

ひとつ前の設問が感じ方の全体像を問うのに対し、こちらは体を機械として見たときの振る舞いに踏み込みます。人の体は、質量とばねとダンパーが直列や並列に組み合わさった構造体とみなせます。構造体である以上、揺すられたときに大きく応答する速さがあり、そこを外れれば応答は小さくなります。この応答の山がどこに立つかは、ばねの固さと支える重さで決まるので、体をどう支えているか、どちらの向きに揺すられているかによって当然動きます。設問は、この山の位置が条件によらず一定であるかのように書いて誤りを作っています。あわせて、どこまでが公害としての揺れの守備範囲かという法律側の切り分けも問われており、そちらは正しい記述です。条件を変えても同じ、と言い切る記述を疑うのが最短の解き方になります。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(4)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)揺れを受け取る感覚器は皮膚や筋、関節、内耳など体じゅうにあり、特定の器官に限られません。
(2)○(正しい)手や腕が工具から受ける揺れは労働衛生の領域で、地盤を伝わる揺れを規制する法律の対象外です。
(3)○(正しい)同じ速さの揺れでも、頭部と胸部と腹部では伝わる比率が違い、部位ごとに応答が異なります。
(4)×(誤り)体を支える形が変われば、ばねの固さも変わります。姿勢と向きで共振する速さは動きます
(5)○(正しい)感じ方は加速度など測れる量と対応づけられ、だからこそ数値で規制することが成り立ちます。

選択肢(4)のポイント(ここが誤り)

ばねに重りをぶら下げた模型を思い浮かべると分かりやすくなります。大きく応答する速さは、ばねの固さを重さで割った値の平方根で決まります。人の体では、このばねに当たるのが関節や筋、椎間板、そして内臓を包む組織です。立っているときと座っているとき、横になっているときでは、力を受け止める経路そのものが入れ替わります。立位なら足首と膝と股関節が直列につながった長いばねになり、膝を伸ばせば固く、わずかに曲げれば柔らかくなります。座位なら座面と骨盤、脊柱が主役になり、臥位では背中の広い面で受けるので、そもそも荷重の集中する場所が違います。同じ人でも、姿勢を変えれば応答の山は別の位置に動きます。

揺すられる向きでも事情は変わります。上下に揺すられるときに効くのは、体重を支えている縦方向のばねです。横に揺すられるときは、上体が振り子のように倒れる動きが加わり、関与するばねが別物になります。一般に横方向の応答の山は、上下方向より遅い側に現れるため、揺れの評価に使う重み付けも上下用と横用で別に定められています。もし共振する速さが条件によらず一つに決まるのであれば、重み付けを二種類用意する必要そのものがなくなってしまいます。重み付けが向きごとに分かれている事実が、この記述の誤りを裏づけていると言えます。

誤り以外の記述も、実務に直結する内容ばかりです。特に押さえておきたいのが、手や腕が工具から直接受ける揺れの扱いです。この種の揺れは、長く浴び続けると指の血流障害などの健康影響につながることが知られていますが、規制の枠組みとしては労働者の安全衛生の側で扱われます。地盤を通って近隣の生活環境に及ぶ揺れが公害としての守備範囲であり、工具を握る人の手に伝わる揺れは別の制度で守られる、という切り分けです。ここを混同すると、届出や測定の対象を判断する設問で足をすくわれます。

部位ごとに伝わる比率が違うという記述も、共振の話と表裏一体です。体は一つの塊ではなく、部位ごとに重さとばねの組み合わせが違うため、同じ速さの揺れを受けても、大きく動く部位とほとんど動かない部位が生まれます。乗り物に長く乗ったときに腰だけがつらくなるといった経験は、この違いの表れです。

覚え方

  • 共振する速さはばねの固さと重さで決まる。姿勢や向きが変われば当然動く。
  • 重み付けが上下用と横用に分かれていること自体が、向きで感度が違う証拠。
  • 工具から手腕に伝わる揺れは労働衛生の領域。地盤を伝わる揺れの規制とは別。
  • 揺れの感覚器は体じゅうにある。目や耳のような専用の器官はない。
  • 体は一つの塊ではない。部位ごとに大きく動く速さが違う。

理解度チェック

Q.

同じ人でも、立っているときと座っているときで共振する速さが変わるのはなぜか。

力を受け止める経路が入れ替わるからです。立位では足首や膝が、座位では座面と骨盤や脊柱がばねになるため、固さと支える重さが変わります。

Q.

工具を握る手や腕に伝わる揺れは、どの制度で扱われるか。

労働者の安全衛生の枠組みです。公害としての揺れは地盤を通って近隣の生活環境に及ぶものを対象としており、両者は守備範囲が分かれています。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題・正解」(公式PDF
  • 振動規制法(e-Gov法令検索