平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問19を解説|揺れの感じやすさは4〜8Hzが頂点
平成29年度 騒音・振動概論 問19は、人が揺れをどう感じ取るかについての基本的な性質を並べた問題です。誤りのある記述を選びます。
この問題のポイント
公害としての揺れを扱うとき、測定器が読んだ物理量をそのまま評価には使いません。人が同じ大きさの揺れでも速さによって感じ方を変えるからで、その差を織り込んだ重み付けをかけてから数値にします。この重み付けの形が、そのまま人の感度の形です。上下方向では、ある帯域で感度が頂点に達し、そこから離れるほど鈍くなる山なりの形をしています。感度は速い揺れほど鋭くなるのでも、遅い揺れほど鋭くなるのでもなく、中ほどに頂点があるのがこの分野の要点で、設問はそこに片側だけの単調な向きを持ち込んで誤りを作っています。ほかに並ぶのは、向きによる違い、姿勢による違い、気づき始める大きさの目安、そして短い衝撃の感じ方で、いずれも正しい内容です。単調に増える・減ると書いてある記述をまず疑うのが定石になります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 上下に揺すられる場合と横に揺すられる場合とで感度は異なり、重み付けも別に定められています。 |
| (2) | ×(誤り) | 上下方向の感度は4〜8ヘルツ付近で頂点になり、それより速い揺れでは鈍くなります。 |
| (3) | ○(正しい) | 立つ、座る、横になるで体を支える形が変わるため、気づき始める大きさも変わります。 |
| (4) | ○(正しい) | 人が揺れに気づき始める目安は、重み付けをかけたレベルでおよそ55デシベルとされています。 |
| (5) | ○(正しい) | ごく短時間で終わる揺れは、同じ大きさでも続けて揺すられる場合より小さく感じられます。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
人の体は、剛体ではなくばねと重りの集まりです。内臓や胴体は骨格に対して弾性的に支えられており、上下に揺すられると、その支えの固さと重さで決まる特定の速さで大きく揺れます。この共振に近い速さのとき、体の内部で相対的な動きが最も大きくなり、揺れをはっきりと感じます。上下方向でこれが起こるのはおおむね4〜8ヘルツで、公害振動の測定に使われる重み付けもこの帯域を平坦な頂点にして、そこから離れると値を差し引く形に作られています。速い揺れほど鋭く感じるという向きは、この山なりの形とまるで合いません。
頂点より速い側では、1オクターブ上がるごとにおよそ6デシベルずつ差し引かれていきます。つまり同じ加速度で揺すられても、速い揺れほど評価値は小さくなります。感覚としても納得のいく話で、非常に速い振動は体の表面で吸収されてしまい、全身が揺すられている感じにはなりません。逆に頂点より遅い側でも差し引かれ、ゆっくりした揺れは加速度が同じなら気づきにくくなります。山の頂上が4〜8ヘルツ、両側の裾が下がるという一枚の絵で覚えるのが確実です。
ここで押さえておきたいのが、揺れの評価に使う量が加速度である点です。同じ変位でも速い揺れほど加速度は大きくなるため、変位で比べると速い揺れが有利に見えてしまいます。設問の誤りは、この加速度と変位の混同から生まれる思い違いをそのまま文にしたものとも読めます。加速度で表した揺れの大小と、人が感じる大小は同じではないという前提を持っていれば、単調な向きの記述はすぐに違和感として引っかかります。
ほかの記述も、体の作りから素直に説明できます。横に揺すられるときは足首や腰の曲げが効くため、上下とは別の速さで共振し、重み付けも別の形になります。姿勢の違いも同じ理屈で、寝ていれば背中全体で床と接するので、立って足だけで支えるときとは伝わり方が変わります。短い衝撃が小さく感じられるのは、感覚が刺激の長さもある程度織り込んでいるためで、瞬間的に強い揺れが来ても、続かなければ受ける印象は薄まります。感じ方は、速さ・向き・姿勢・続く時間の四つで変わるとまとめておくと、この分野の設問はほぼ機械的に処理できます。
覚え方
- 上下方向の感度の頂点は4〜8ヘルツ、両側の裾は下がる。単調に増える形ではない。
- 頂点より速い側は1オクターブごとに約6デシベル差し引かれる。
- 気づき始める目安は重み付けしたレベルでおよそ55デシベル。
- 横揺れは上下とは別の重み付け。向きが変われば感度も変わる。
- 短時間で終わる衝撃は、続く揺れより弱く感じられる。時間も感じ方の要素。
理解度チェック
上下方向で人が最も敏感になる揺れの速さはどのあたりか。
おおむね4〜8ヘルツです。内臓や胴体を支えるばねの共振に近い帯域で、公害振動の重み付けもここを平坦な頂点にしています。
人が揺れに気づき始める大きさは、レベルでどの程度が目安か。
およそ55デシベルです。個人差は大きく、これより低くても気づく人はいますが、目安としてこの値が使われます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題・正解」(公式PDF)
- 日本産業規格 JIS C 1510「振動レベル計」(振動感覚補正特性・鉛直特性)
- 環境省「振動の測定と評価」(振動感覚閾値の目安)
※ この記事の確認日:2026年7月