平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問17を解説|振動の苦情は建設業が突出
平成29年度 騒音・振動概論 問17は、公害等調整委員会がまとめている苦情の調査結果をもとに、揺れの苦情がどんな業種から出ているかの内訳を問う組合せ問題です。空欄を埋める言葉と数字の組合せを選びます。
この問題のポイント
統計を扱う設問だからといって、数字を丸暗記していないと解けないわけではありません。ここで問われているのは、揺れの苦情がどこから出てくるのかという公害振動の性質そのものです。揺れは地盤を伝わって近所へ届きます。地面を直接叩いたり掘ったりする行為がいちばん強い揺れを地盤に送り込むので、苦情の出方も工事の現場に強く偏ります。しかも工事は住宅地のすぐ隣で始まることが多く、事前に知らされていても不快感は残ります。一方、工場のように同じ場所で長く操業する発生源は、防振の対策が積み重ねられているぶん、苦情に結びつく割合が小さくなります。首位の業種を決め、その突出ぶりを数字の大小で確かめるという二段構えで、正しい組合せは一つに絞れます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)
各空欄に入る語句・数値
| 空欄 | 入るもの | 読み解き |
|---|---|---|
| ア | 建設業 | 揺れの苦情を発生源で分けると、工事を行う業種が他を大きく引き離して最も多くなります。 |
| イ | 選択肢の中で大きいほうの数値 | 首位というだけでなく、全体の過半を占める規模の割合です。小さいほうの数値では説明がつきません。 |
| ウ | 製造業 | 工場を抱える業種も発生源に挙がりますが、工事に比べればはるかに小さい存在です。 |
| エ | 選択肢の中で小さいほうの数値 | 建設業とはけた違いに小さく、全体のごく一部にとどまります。 |
ここが分かれ目
まず首位を決めます。工事にはくい打ちや破砕といった、地盤を直接叩く作業が含まれます。叩けば地面が波を発してまわりへ広がるので、隣の住宅では家全体が揺すられ、戸や食器が鳴ります。工事は始まる場所も期間も住民には選べないため、我慢の期間が読めないことも苦情を後押しします。結果として、揺れの苦情の発生源としては工事を担う業種が抜きん出ます。ここで首位を工場の側だと考えてしまうと、その時点で選択肢を外します。
次が、突出の度合いです。首位を正しく置いた選択肢が二つ残るので、そこから先はその業種が全体のどれくらいを占めるかで決まります。揺れの苦情は、騒音の苦情に比べて発生源の顔ぶれが少なく、工事に集中する傾向がはっきりしています。音は塀や建物で遮ることができ、日常のさまざまな行為が音源になりますが、揺れは地面を通るため遮りにくく、そもそも地盤に大きな力を加えられる行為が限られているからです。したがって首位の占める割合は半分を超える規模になり、控えめな数値を選ぶと、残りの業種で埋めきれない配分になってしまいます。
三つ目に挙がる業種の小ささも、性質から説明できます。工場は同じ場所で操業を続けるため、苦情が出れば防振ゴムや基礎の改良といった手当てが打たれ、次の年には落ち着きます。運搬にかかわる業種も、揺れの主役は道路そのものであって、事業者の設備が直接の発生源になる場面は多くありません。移動しながら次々に新しい近隣と接する行為ほど苦情になりやすいという見方は、この分野の統計を読むときの汎用の物差しになります。
なお、こうした調査の数値は年度ごとに動きます。試験で問われるのは正確な小数点以下ではなく、どの発生源が最も多く、どの発生源が小さいかという並び順です。順位と桁感だけを押さえておけば、出典の年度が変わっても対応できます。
覚え方
- 揺れの苦情は工事の現場に集中する。地盤を直接叩く行為がいちばん効く。
- 工場側は同じ場所で操業するぶん対策が積み上がり、苦情の構成比は小さい。
- 音は遮れるが揺れは地面を通る。だから発生源の顔ぶれが絞られる。
- 統計の設問は数字ではなく順位と桁感で解く。年度が変わっても順位は動きにくい。
- 首位を決めてから割合の大小で絞る。組合せ問題は二段構えで詰める。
理解度チェック
揺れの苦情が工事の現場に偏るのはなぜか。
地盤を直接叩く作業が含まれるからです。くい打ちや破砕は大きな力を地面に加え、その波が近隣の家屋まで届きます。しかも場所と期間を住民が選べません。
工場を抱える業種の構成比が小さくとどまるのはなぜか。
同じ場所で操業を続けるため対策が積み重なるからです。防振ゴムや基礎の改良といった手当てが打たれ、翌年以降の苦情に結びつきにくくなります。
この問題に関連する用語解説
※ この記事の確認日:2026年7月