平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問16を解説|打ち消し合うのは半周期ずれた点だけ
平成29年度 騒音・振動概論 問16は、同じ大きさの音波が向かい合って進み、重なり合ったときに何が起こるかを並べた問題です。誤りのある記述を選びます。
この問題のポイント
向かい合って進む二つの波が重なると、場所によって強め合ったり弱め合ったりする決まった模様ができます。この模様がどこにできるかは、二つの波の山と谷がその地点でどれだけずれているかだけで決まります。強め合うのはずれが無いとき、消し合うのはずれがちょうど半周期ぶんのときです。設問は、この半周期という条件をわずかに外した数字を提示して、それでも完全に消えると読ませてきます。角度で言えば半周期はぴったり180度で、それより大きくても小さくても、合成された振幅は残ります。似た記述の中に、模様の間隔、干渉を積極的に使う話、二つの周波数がごくわずかに違うときに起こるゆっくりした強弱の話が混ぜてあり、いずれも正しい内容です。条件が「ちょうど」なのか「だいたい」なのかを見張るのが、この設問の攻略法になります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | ずれが半周期をわずかに通り越しており、完全には消えず振幅が残ります。 |
| (2) | ○(正しい) | 山と山、谷と谷が同時に来る地点では振幅が単純に足され、片方だけのときの2倍になります。 |
| (3) | ○(正しい) | 強め合う地点と弱め合う地点は交互に現れ、その間隔は波長の4分の1になります。 |
| (4) | ○(正しい) | 狙った地点で山と谷が出会うように仕組めば音を消せます。干渉形の消音器はこの原理です。 |
| (5) | ○(正しい) | 二つの周波数がごくわずかに違えば、1秒あたり周波数の差の回数だけ、音が大きくなったり小さくなったりします。 |
選択肢(1)のポイント(ここが誤り)
同じ振幅の正弦波を二つ重ねたとき、合成された振幅は、もとの振幅の2倍に「ずれの半分の角度の余弦の絶対値」を掛けた値になります。ずれが無ければ余弦は1で振幅は2倍、ずれが半周期ぴったりなら余弦がゼロになって振幅も消えます。半周期を20度ぶん通り越したずれでは余弦はゼロから離れてしまい、もとの振幅の3割ほどが生き残ります。耳で聞けば確かに小さくはなりますが、無音にはなりません。
この誤りが見抜きにくいのは、数字が180に近いせいです。半周期という条件は「近ければよい」ものではなく、余弦がゼロを通過する一点だけを指しています。少しでもずれれば、消え残りは急に大きくなるわけではないものの、確実にゼロではなくなります。完全な打ち消しは点でしか成立しないという感覚を持っておくと、似た文面が別の年度で出ても即断できます。
合成の様子を空間で眺めると、話はもっとはっきりします。向かい合って進む二つの波が重なると、模様が動かずにその場に留まる状態になります。振幅がいちばん大きくなる地点と、まったく振れない地点とが規則正しく並び、隣り合う両者の間隔は波長の4分の1です。振れない地点どうしの間隔で数えれば波長の半分になります。4分の1と半分を取り違えるのがもう一つの定番の引っかけで、今年の設問ではここは正しく書かれています。
二つの周波数がごくわずかに違う場合は、模様が止まらずにゆっくり動き、ある場所で聞いていると音の大小が周期的に入れ替わって聞こえます。1秒間に何回強弱が入れ替わるかは、二つの周波数の差そのものです。近い音を二つ鳴らして調律するときに使われるのがこの性質で、差が小さいほど強弱の周期は長くなります。ずれが空間に固定されると模様が止まり、周波数がずれると模様が動くという対比で整理しておくと、両方の記述を同時に理解できます。
覚え方
- 完全に消えるのは半周期ちょうどずれたときだけ。近い数字でもゼロにはならない。
- 同じ振幅を同位相で重ねれば振幅は2倍、音圧レベルなら約6デシベル上がる。
- 強め合う点と振れない点の間隔は波長の4分の1、同じ種類どうしなら波長の半分。
- 音を音で消すのは干渉の応用。干渉形の消音器やアクティブ消音の原理。
- 周波数の差がそのまま1秒あたりの強弱の回数になる。
理解度チェック
同じ振幅の二つの音波を重ねて音圧をゼロにするには、ずれをどれだけにすればよいか。
ちょうど半周期ぶんです。角度なら180度で、そこから外れると合成振幅はゼロにならず消し残りが生じます。
周波数が3ヘルツだけ違う二つの音を同時に鳴らすと、1秒間に何回強弱が入れ替わるか。
3回です。強弱の回数は二つの周波数の差そのものになるため、差が小さいほどゆっくりした強弱になります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月