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平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問15を解説|距離は音源の中心から測る

平成29年度 騒音・振動概論 問15は、大きさのある球状の音源が四方八方へ均等に音を放つとき、離れた2地点のレベル差をどう書き表すかを問う問題です。五つの式から正しい一つを選びます。

この問題のポイント

距離減衰の式そのものは基本中の基本ですが、この設問はそこに二重の仕掛けを入れてあります。ひとつは係数で、音圧レベルの差を書くのか、音の強さのレベルの差を書くのかで、対数の前に置く数が20か10かに分かれます。もうひとつは距離の測り方です。設問の音源は点ではなく大きさをもった球で、離れた距離は球の表面を起点にして測った値として与えられています。ところが減衰を支配するのは、球の中心から数えた距離のほうです。したがって表面からの距離に半径を足し戻さないと、正しい比になりません。この二つが独立に仕掛けられているので、係数は合っているのに半径を足していない式、半径は足してあるのに係数が違う式、片方の項にだけ半径が足してある式が並びます。係数と距離の起点、両方をそろえた式は一つだけです。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(1)(正しい記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)分子・分母のどちらにも半径を足して中心からの距離にそろえ、係数を20にした形です。
(2)×(誤り)係数は合っていますが半径を足し戻していないため、表面からの距離をそのまま比にしています。
(3)×(誤り)係数が10であるうえ、分母だけに半径を足したちぐはぐな形になっています。
(4)×(誤り)半径も足しておらず、係数も音の強さ用の10のままで、二重に外しています。
(5)×(誤り)分子だけに半径を足した形で、係数も10です。距離の起点が2地点でそろっていません。

計算の手順と分かれ目

手順内容
手順1音が球面状に広がる状況を思い浮かべる。同じエネルギーが広がった球面全体に分け合われるので、音の強さは中心からの距離の2乗に反比例する。
手順2音の強さは音圧の2乗に比例するから、音圧そのものは中心からの距離に反比例する。レベルの差は音圧の比の常用対数を20倍した値になる。
手順3距離の起点をそろえる。球の表面から外へ測った長さに半径を足すと、中心から数えた距離になる。2地点とも同じ足し方をする。
手順4遠い側のレベルは、近い側のレベルに「近い側の中心距離÷遠い側の中心距離」の常用対数の20倍を足した値になる。係数20かつ両項に半径を足した式は一つだけ。

手順3が、この問題の分かれ目です。半径が無視できるほど小さい音源なら表面からの距離をそのまま使っても差し支えありませんが、設問では半径がゼロより大きいと明示されています。半径を足さない式は、音源をあらためて点に置き換えてしまっていることになり、条件を勝手に緩めた答えになります。しかも表面のすぐそばで測ると誤差は無視できません。極端な例として、球の表面に張りついた地点では、表面からの距離はゼロですから比が発散してしまい、式そのものが意味をなさなくなります。中心から数えれば半径ぶんの距離が残るので、そんな破綻は起きません。

手順2の係数も、落とし穴として定番です。10を掛ける形が使えるのは、音の強さや音響パワーのようにエネルギーに比例する量の比を扱うときに限られます。音圧はエネルギーの平方根側の量なので、比の対数を20倍します。逆に言えば、音の強さのレベルで書き直せば係数10で正しくなり、そのとき距離の比は2乗の形で入ります。係数20と距離の1乗、係数10と距離の2乗は同じことを言っていると理解しておくと、どちらの流儀で書かれていても迷いません。

覚えておくと速いのは、距離が倍になるごとにレベルが約6デシベル下がるという性質です。中心からの距離が2倍になれば音圧は半分、その常用対数を20倍すればおよそ6が出てきます。この設問でも、もし半径が小さくて表面からの距離が支配的なら、選択肢(1)と(2)はほとんど同じ値を返します。近似が成り立つ状況と、厳密に成り立つ式とを区別するのが出題の狙いで、条件文にわざわざ半径の大きさに触れているのはそのためです。

覚え方

  • 音圧レベルの比較は係数20、音の強さの比較は係数10。掛ける数で扱う量が分かる。
  • 大きさのある音源では、距離は必ず中心から数える。表面からの長さには半径を足す。
  • 球面状に広がる音は距離が2倍で約6デシベル低下。暗算の物差しに使う。
  • 半径を無視してよいのは、距離が半径に比べて十分大きいときだけ。
  • 2地点の式は必ず同じ起点でそろえる。片方だけ足してある式は形からして誤り。

理解度チェック

Q.

音圧レベルの差を書くとき、対数の前に置く数が20になるのはなぜか。

音圧が2乗されてエネルギーに対応するからです。エネルギーに比例する量なら係数10ですが、音圧はその平方根側の量なので、比の常用対数を20倍します。

Q.

大きさのある球状の音源で、表面からの距離をそのまま使うとどんな不都合が起きるか。

表面に近い地点で値が発散します。表面上では距離がゼロになり比が計算できません。中心から数えれば半径ぶんが残るので、式は破綻しません。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題・正解」(公式PDF