平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問8を解説|静かな機械でも苦情はなくならない
平成29年度 騒音・振動概論 問8は、音を出す側を工場・生活・鉄道・建設・道路と並べ、それぞれの性格をとらえられているかを問う正誤問題です。誤っている記述を選びます。
この問題のポイント
発生源ごとの特徴は、音の出方(続くのか、途切れるのか)、大きさの水準、及ぶ範囲、という三つの軸で整理できます。工場は機械の種類が多いので一括りにできず、生活の音は水準が低くても苦情になり、鉄道は列車が通るときだけ鳴り、道路は流れが途切れないぶん広い範囲に効き続けます。ここに一つだけ、対策をしたから問題は消えたという形の言い切りが混ざっています。音を出しにくい機械が広まったのは事実ですが、それは水準を下げる話であって、ゼロにする話ではありません。作業する場所が住まいのすぐ隣であること、期間が限られていても昼間に集中することといった事情は残ります。「〜なので〜しない」と断定する肢は疑ってかかるのが、この形式の定石です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 機械の種類が多い分だけ音の性格も分かれるという指摘で、正しい説明です。 |
| (2) | ○(正しい) | 静かな住環境では、水準が高くなくても迷惑と受け取られます。 |
| (3) | ○(正しい) | 列車が通る間だけ鳴り、通り過ぎれば止むという出方が特徴です。 |
| (4) | ×(誤り) | 音を出しにくい機械が広まっても、住まいのすぐ隣で作業する以上、苦情がなくなることはありません。 |
| (5) | ○(正しい) | 交通量の多い道路ぞいの環境をよくする取り組みは、都市部だけでなく各地で課題になっています。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
建設の作業は、ほかの発生源と決定的に違う条件を抱えています。ひとつは場所を選べないことです。工場なら音源を敷地の奥へ寄せたり建物で囲ったりできますが、建設は作りたい場所でしか作れず、住まいのすぐ隣で杭を打つことも壁を壊すこともあります。もうひとつは作業の性格で、壊す、打ち込む、削るといった、力を強く加える工程がどうしても必要になります。力を加えれば音が出るのは避けられません。
音を出しにくい型の機械が広まったこと自体は事実で、指定された作業では使うよう求められる場面もあります。しかしそれは、同じ工事を以前より静かに進められるという話であって、周囲がまったく気にならない水準まで落ちるという話ではありません。しかも受け手の側の事情——在宅で仕事をしている、乳幼児がいる、夜勤明けで眠っている——は、工事の都合とは無関係に存在します。建設の作業が音の苦情を生む代表的な発生源であり続けているのは、この構造によります。
この形式で覚えておきたいのは、断定の形をした肢は誤りであるケースが多いという点です。「〜だから苦情は出ない」「常に〜である」「〜に関係なく一定である」といった言い回しは、例外を潰しにかかる書き方であり、現実の公害の話としては成り立ちにくくなります。逆に「〜する場合もある」「〜のこともある」と幅を持たせた肢は、たいてい正しい記述です。文末の締め方を見るだけでも当たりを付けられます。
覚え方
- 建設の作業は場所を選べず、力を加える工程が要る。静かな機械でも苦情は残る。
- 発生源は「続くか途切れるか」で整理。鉄道は途切れる側、道路は続く側。
- 生活の音は水準が低くても苦情になる。静かな環境ほど目立つため。
- 工場は機械の種類が多く、音の性格を一括りにできない。
- 「〜だから〜しない」と断定する肢は誤りを疑う。「〜こともある」は正しい側に多い。
理解度チェック
音を出しにくい機械を使えば、建設の作業で苦情は起きなくなるか。
なりません。作業する場所を選べず、力を加える工程が避けられないため、水準は下がっても苦情そのものは残ります。
鉄道の音の出方の特徴は何か。
列車が通る間だけ鳴り、通り過ぎれば止むという途切れる出方をすることです。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月