平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問7を解説|音は広がりにくく、あとに残らない
平成29年度 騒音・振動概論 問7は、耳障りな音をどう定義するか、そしてこの種の公害がほかの公害とどう違うかを問う正誤問題です。誤っている記述を選びます。
この問題のポイント
この分野の総論では、音の公害が「感覚に直接届く公害」だという点が繰り返し強調されます。物質が体内に入って害をなすのではなく、聞こえること自体が迷惑になるため、音の大きさと迷惑の度合いが一対一で対応しないという性質が生まれます。同じ大きさでも、時間帯や受け手の事情、送り手との関係で受け止め方が変わります。一方で、ほかの公害と比べたときの広がり方には明確な違いがあります。大気や水に混じった物質は運ばれ、溜まり、離れた場所や後の時間にまで届きますが、音は源から離れるほど急に弱まり、鳴りやめば何も残りません。選択肢はこの二つの性質を並べており、片方の向きを逆にしたものが一つ混ざっています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 望ましくないと受け取られる音をひとまとめに指す言い方で、定義として正しいものです。 |
| (2) | ○(正しい) | 大きさだけで決まらないのがこの公害の性質で、静かな環境ほど小さな音でも問題になります。 |
| (3) | ×(誤り) | 音は源から離れるほど急に弱まるため、及ぶ範囲はむしろ狭く、発生源の周りに限られます。 |
| (4) | ○(正しい) | 近所づきあいのある相手だと申し立てをためらいやすく、こじれやすいという指摘は実態に合っています。 |
| (5) | ○(正しい) | 空気の圧力の変化という現象なので、抑えても処理すべき物質は出ません。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
音は空気の圧力のわずかな上下として伝わり、広がるにつれて同じエネルギーが広い面へ薄まっていきます。加えて、空気そのものによる吸収や、地面・建物による遮りが効くため、距離が伸びるほど減り方がはっきりしてきます。結果として、影響が及ぶのは発生源から比較的近い範囲にとどまり、遠方の住民にまで一様に届くという形にはなりません。
これに対し、大気へ出た物質は風に乗って運ばれ、水へ出た物質は流れに乗って下流へ届きます。物質は消えずに移動し、場合によっては生き物の体や底の泥に溜まり、時間が経ってから影響が現れることもあります。運ばれる・溜まる・後から効くという三つの性質が、音にはありません。鳴りやめばその場から消え、あとには何も残らないという点が、対策の考え方を大きく変えます。
その代わり、音の公害には別の難しさがあります。まず、受け止め方が主観に強く依存するため、測った値が同じでも苦情の出方が違います。次に、発生源が身近にあることが多く、申し立てが人間関係に直結します。さらに、集めて処理するという発想が使えないので、源で小さくする・伝わる途中で遮る・受け手の側で防ぐという三通りの手当てを組み合わせるしかありません。処理すべき物質が出ないという性質は、裏を返せば「集めて片づける」やり方が使えないということでもあります。
覚え方
- 音の広がりは狭く、あとに残らない。運ばれて溜まることもない。
- 感覚に届く公害なので、測った値と迷惑の度合いは一対一に対応しない。
- 静かな場所ほど、小さな音でも苦情になりうる。
- 発生源が身近だと申し立てにくく、感情のもつれを生みやすい。
- 対策は「源・経路・受け手」の三通り。集めて処理する発想は使えない。
理解度チェック
音の公害は、大気や水の汚れと比べて広がり方がどう違うか。
源から離れると急に弱まるため、及ぶ範囲は狭く、発生源の周りに限られます。物質のように運ばれて溜まることもありません。
抑えたあとに処理すべきものが出ないのはなぜか。
音は空気の圧力の変化という現象であって、物質ではないからです。その代わり集めて処理する対策も使えません。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月