平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問3を解説|そろっているなら平均、ばらつくなら上位側
平成29年度 騒音・振動概論 問3は、工場の音に上限をかける告示の中身、とりわけ区域の分け方と測り方の決まりを問う正誤問題です。誤っている記述を選びます。
この問題のポイント
告示は二本の柱でできています。ひとつは区域を四つに分け、それぞれの性格を言葉で定義する柱で、静けさを最優先する側から、工業が主体で著しい音だけを抑えればよい側へと、順に許される音が緩くなります。もうひとつが測り方の柱で、使う計器の条件、周波数の重み付けと応答の速さ、そして針の振れ方に応じた読み取りの決まりが並びます。差がつくのは最後の読み取りです。針の振れ方は四通りに場合分けされ、それぞれに違う処理が割り当てられています。似た文言が続くため、場合と処理の対応が一つずれていても読み流しやすく、そこが引っかけになっています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 四区分のいちばん静かな側の説明で、告示の言葉どおりです。 |
| (2) | ○(正しい) | 計器の条件と、重み付け・応答の速さの指定は告示の定めるとおりです。 |
| (3) | ○(正しい) | 針が不規則に大きく揺れる場合の処理として、上位側の統計値を取るのは正しい扱いです。 |
| (4) | ×(誤り) | 振れの山の高さがそろわない場合は、山の高さを平均するのではなく、山の高さについて上位側の統計値を取ります。 |
| (5) | ○(正しい) | 四区分のいちばん緩い側の説明で、告示の言葉どおりです。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
針の振れ方による場合分けは四つあります。ほとんど動かないときはその値をそのまま読み、周期的または間欠的に振れて山の高さがだいたいそろっているときは、山の高さの平均を取ります。ここまでが平均の出番です。ところが同じ周期的・間欠的な振れでも山の高さがばらついているときは扱いが変わり、山の高さを並べたうえで上位側を代表させる統計値を用います。そして針が不規則に大きく揺れ続けるときは、測定値そのものについて同じ統計値を取ります。
選択肢が仕掛けているのは、この三つ目と二つ目の入れ替えです。山の高さがそろわないのに平均で片づけてしまうと、たまに飛び出す大きな山が薄められ、実際より小さく評価されます。規制は周囲への影響を抑えるためのものですから、ばらつくときほど上側を見る、という向きに設計されているわけです。「そろっているなら平均、ばらつくなら上位側」と対にして覚えると、二つを取り違えなくなります。
区域の四区分は、静けさを守る強さの順に並んでいます。良好な住まいの環境のために特に静けさを要する側が最も厳しく、次が住まいに使われているため静けさを要する側、三つ目が住まいに商業や工業が混じる側、四つ目が主に工業に使われていて著しい音だけを抑える側です。四つ目にも「そこに住む人の暮らしの環境を守る」という歯止めが書かれている点が、そのまま選択肢の文言になっています。緩い区域だから何でもよい、という読み方をすると、この一節を見落とします。
覚え方
- 針の読み方はそろっているなら平均、ばらつくなら上位側。
- 不規則で大幅に揺れるときは、測定値そのものについて上位側の統計値を取る。
- 計器の設定は「重み付けはA、応答は速い側」。工場の基準ではこの組合せで固定。
- 区域は四つ。静けさ優先の側から工業主体の側へ、順に緩くなる。
- いちばん緩い区域にも「そこに住む人の暮らしを守る」という歯止めが付いている。
理解度チェック
針が周期的に振れ、山の高さがそろわない場合、代表値をどう決めるか。
山の高さを並べたうえで上位側を代表させる統計値を用います。平均で片づけるのは誤りです。
工場の音を測るときの重み付けと応答の速さの指定は何か。
重み付けはA、応答は速い側(FAST)です。この組合せが告示で固定されています。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月