平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問2を解説|工場の音は敷地の境界線で測る
平成29年度 騒音・振動概論 問2は、法律の入口に置かれた二つの用語の説明文を示し、線が引かれた五つの部分のうち法の言い回しとずれているものを探す問題です。ずれている箇所を選びます。
この問題のポイント
この形式は、条文を丸ごと暗唱できるかではなく、条文の骨格を組み立て直せるかを見ています。ひとつ目の用語は、規制の網にかける設備を絞り込む定義で、「大きな音を出すこと」と「政令が名指しすること」の二段構えになっています。ふたつ目の用語は、その設備を置いた工場や事業場に対して、音の上限を示すものです。分かれ目になるのは、その上限をどこの音について定めるのかという一点です。工場の中には音源がいくつも並びますが、法は一台ずつの足元に上限を置く方式を採っていません。線が引かれた五か所のうち四つは条文どおりで、残る一つだけが、この測る場所の考え方を取り違えています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 政令が名指しする対象を、大きな音を出す設備に絞る部分です。条文どおりです。 |
| (2) | ○(正しい) | 上限をかける相手が、その設備を置いた工場や事業場であることを示す部分です。条文どおりです。 |
| (3) | ×(誤り) | 上限を定める場所を示すべきところで、一台ずつに上限を置く形になっています。法が定めているのは敷地の外周での大きさです。 |
| (4) | ○(正しい) | 限度をかける対象が音の大きさであることを示す部分です。条文どおりです。 |
| (5) | ○(正しい) | 定めるものが上限(許容限度)であることを示す部分です。条文どおりです。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
条文が定める上限は、敷地の境界線における音の大きさについてのものです。工場の中に何台の機械が並んでいようと、物差しが当てられるのは敷地の外周であり、そこで測った音がすべての音源の合わさった結果として評価されます。一台ずつに上限を割り当てる形にしてしまうと、それぞれは基準を満たしていても、全部が同時に動いたときの合計が野放しになります。周りの住民が受け取るのは合計の音ですから、外周で押さえるやり方でなければ規制の目的を果たせません。
外周で測る方式には、実務のうえでも利点があります。工場の敷地へ立ち入らなくても測れるため、行政も周辺の住民も同じ場所で確かめられます。機械の足元で測る方式なら、稼働の状態を工場側にそろえてもらう必要があり、確認が難しくなります。誰でも測れる場所に物差しを置くという発想は、この法律の設計の中心にあるものです。
もう一方の、網にかける設備の絞り込みは、二つの条件を重ねて読む必要があります。音が大きいというだけでは足りず、政令が名前を挙げていて初めて対象になります。似た性能の機械でも、名前が挙がっていなければ網の外です。「大きな音を出すものはすべて対象」と読んでしまうのが、この定義でよくある取り違えです。二つの用語はどちらも、対象と物差しを絞り込むために置かれた言葉だと考えると整理しやすくなります。
覚え方
- 工場の音の物差しは敷地の境界線での大きさ。一台ずつではない。
- 網にかける設備は「音が大きい」+「政令が名指し」の二段構え。片方だけでは対象にならない。
- 外周で測る理由は、合計の音を押さえるためと、外から確認できるため。
- 上限を示す言葉は「許容限度」。禁止ではなく、超えてはならない線を引く形。
- 下線問題は、対象・場所・量・限度のどれを言い換えたかを一つずつ照合する。
理解度チェック
工場の音の上限は、どこで測った大きさについて定められているか。
敷地の境界線で測った大きさです。個々の機械の足元ではなく、外周に出てきた合計の音が評価されます。
大きな音を出す設備なら、政令に名前が挙がっていなくても網にかかるか。
かかりません。対象は「著しい音を出すこと」と「政令が名指ししていること」の両方を満たす設備に限られます。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月