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平成30年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問25を解説|TOC計(炭素の量で表す指標、酸素の量ではない)

平成30年度 汚水処理特論 問25は、水中の有機物を炭素の量として測る装置についての正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

五つの肢のうち四つは、測定にかかる時間の短さ、炭素を燃やしてできた気体をどう数えるか、そして無機の炭素をどう取り除くかという、装置の作りに関する説明です。残る一つだけが装置の話ではなく、この指標が何の量を表しているのかという定義そのものに触れています。そして引っかけはまさにそこに仕込まれています。水の汚れを表す指標には、有機物を分解するのに要する酸素の量で示すものと、有機物に含まれる炭素の量で示すものの二系統があり、その定義がすり替えられているのです。装置の細部を覚えていなくても、この指標の名前が何を数えているかを言えれば一発で決まります。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(1)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)×(誤り)酸化に要する酸素の重量で表すのはCODの考え方で、この指標は炭素の量で表します。
(2)○(正しい)燃やして測るため、微生物や薬品の反応を待つ指標よりも短い時間で結果が出ます。
(3)○(正しい)燃焼で生じた二酸化炭素は赤外線を吸うので、その吸収の強さから量を求めます。
(4)○(正しい)全体の炭素と無機の炭素をそれぞれ測り、その差を有機の炭素とする方式です。
(5)○(正しい)酸性にしてガスを吹き込めば無機の炭素は気体となって抜け、残りを測れます。

選択肢(1)のポイント(ここが誤り)

水の汚れの度合いを表す指標には、大きく分けて二つの流儀があります。ひとつは、有機物を酸化するのにどれだけの酸素が要るかという「必要な酸素の量」で表す流儀です。もうひとつは、有機物にどれだけの炭素が含まれているかという「炭素そのものの量」で表す流儀です。この問題で扱われている指標は後者に属します。ところが肢(1)は、炭素を二酸化炭素まで酸化して、それに必要な酸素の重量として表示すると述べています。これは前者の流儀、つまりCODの考え方をそのまま持ち込んだ説明であり、誤りです。

混乱しやすいのは、測定の途中で実際に有機物を燃やして二酸化炭素にしている点です。「酸化しているのだから酸素で表すのだろう」と結び付けたくなりますが、燃やすのはあくまで炭素を数えやすい形に変えるための手段にすぎません。生じた二酸化炭素の量を測れば、そこに含まれていた炭素の量が分かります。装置が最後に表示するのは、その炭素の量です。酸素の消費量に換算し直したりはしません。同じ排水を測っても、酸素で表す指標と炭素で表す指標では数値の意味が違い、単純に読み替えられないのはこのためです。

残りの肢は装置の作りの話で、いずれも筋が通っています。燃やして生じた二酸化炭素は赤外線を吸収する性質があるため、その吸収の度合いから量を求めることができます。試料に含まれる炭素には、有機物由来のものだけでなく、炭酸イオンや炭酸水素イオンといった無機の形のものも混ざっているので、そのままでは有機物の量になりません。そこで二通りの引き算のやり方が用意されています。ひとつは、全体の炭素と無機の炭素を別々に測って差を取るやり方。もうひとつは、あらかじめ試料を酸性にしてガスを吹き込み、無機の炭素を二酸化炭素として追い出してから残りを測るやり方です。前者は測る系統を二つ持ち、後者はひとつで済ませます。名前は違っても、無機の炭素をどう取り除くかという目的は同じだと押さえておけば、両方まとめて理解できます。

覚え方

  • 酸素で表すのがCOD・BOD、炭素で表すのがTOC。何を数えた指標かで二系統に分ける。
  • 燃やすのは炭素を数えるための手段。表示する量まで酸素に置き換わるわけではない。
  • 生じた二酸化炭素は赤外線を吸う性質を利用して量を求める。
  • 系統を二つ持つ方式は引き算、ひとつで済ませる方式は先に追い出す。狙いはどちらも無機炭素の除去。
  • 微生物や薬品の反応を待つ指標に比べ、燃やして測る方式は結果が早い。

理解度チェック

Q.

TOCは何の量を表す指標か。CODとの違いを述べよ。

TOCは有機物に含まれている炭素そのものの量を表す指標です。これに対しCODは、有機物を酸化するのに必要な酸素の量で表します。測定の途中で燃やしていても、TOCが表示するのは炭素の量です。

Q.

試料に含まれる無機体炭素は、どのように扱われるか。

全体の炭素から無機体炭素を差し引いて求める方式と、試料を酸性にしてパージガスを通し、無機体炭素をあらかじめ追い出してから測る方式があります。どちらも無機由来の炭素を有機物の量に含めないための工夫です。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題・正解」(公式PDF