平成30年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問23を解説|全りんの流れ分析法(分解が先、モリブデン青の還元が後)
平成30年度 汚水処理特論 問23は、試料を管に流したまま、りんの総量を連続的に測る装置の組み立てについての組合せ問題です。流路に置かれた三か所の試薬として最も適切なものを選びます。
この問題のポイント
装置の図が示されていますが、器具の名前を暗記していなくても解けます。手がかりは、りんを測るときに必ず踏む手順の順番だけです。試料の中のりんは、りん酸イオンの形になっているものばかりではなく、有機物や重合した形で存在するものも含まれます。ですから測る前にいったん全部をりん酸イオンにそろえる必要があり、そのために強い分解をかけます。そろえたあとで色をつけ、色の濃さから量を求めます。分解の工程と発色の工程は必ずこの順に並ぶため、分解のための薬品を発色より後ろに置く選択肢はその時点で消えます。逆に、色を仕上げるための薬品を流れの先頭に置く選択肢も成り立ちません。残る一つが答えです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)
各選択肢の正誤
| 空欄 | 語句 | 読み解き |
|---|---|---|
| ア | キャリアー液(水) | 試料を注ぎ込む手前を流れ続け、注入された試料を下流へ運ぶ担い手です。 |
| イ | 酸化剤溶液 | 分解の装置へ向かう直前で合流し、りんを含む物質をりん酸イオンにそろえます。 |
| ウ | アスコルビン酸溶液 | 発色試薬と混ざったあとに加わり、還元して青い色を仕上げます。 |
ここが分かれ目
迷いどころは、酸化剤とアスコルビン酸のどちらが前でどちらが後ろかの一点に尽きます。二つとも「反応に必要な薬品」という点では同じ顔をしていますが、役割は正反対です。酸化剤は電子を奪う側、アスコルビン酸は電子を与える側、つまり還元剤です。役割が逆である以上、置き場所も入れ替えられません。
前半で酸化剤が要るのは、りんの総量を測るという目的のためです。試料の中のりんは、りん酸イオンとしてそのまま存在するものだけではありません。有機物の一部として結びついたものや、いくつかつながった形のものも混ざっています。これらは発色試薬を加えても反応しないため、そのまま色をつけても総量にはなりません。そこで加熱しながら酸化剤で徹底的に叩き、すべてをりん酸イオンの形に変えてから測るのが全りん測定の原則です。この分解を担う装置が流路の前半に置かれており、その入口の手前で合流する薬品が酸化剤である、という配置になります。
後半でアスコルビン酸が要るのは、色を出す反応の最後の一手だからです。りん酸イオンは、モリブデン酸を含む酸性の試薬と出会うと錯体をつくりますが、この段階ではまだ測りやすい濃い色にはなっていません。ここに還元剤を加えることで、はっきりした青色に変わり、吸光度として読み取れるようになります。だからアスコルビン酸は、発色試薬が合流したさらに下流に入ります。これを先頭に置くと、酸化分解すべき場面に還元剤を流し込むことになり、分解が進まないうえに発色の場面では還元剤が不足します。逆に酸化剤を末尾に置けば、青色に変えるべきところで酸化してしまい、色が出ません。
残るアの位置は、試料を注ぎ込む器具のすぐ手前です。流れ分析法は、途切れずに流れている液の中へ試料をひと押し分だけ注入し、その塊が流路を進みながら試薬と混ざっていく仕組みです。この土台となる流れを作るのがキャリアー液で、りんを測る系では水が使われます。試薬でも検出対象でもなく、あくまで運び役だと理解しておけば、三つの空欄はきれいに区別できます。
覚え方
- 全りんは、そろえてから測る。酸化分解でりん酸イオンに統一するのが先、発色は後。
- アスコルビン酸は還元剤。青色を仕上げる最後の一手なので、必ず発色試薬より下流。
- キャリアー液は運び役。試料を注入する器具の手前に置く。
- 流路の問題は、上流から下流へ「運ぶ→分解する→色をつける→測る」の順で読む。
- 酸化剤と還元剤が同じ選択肢に並んだら、役割が逆であることを思い出して位置を決める。
理解度チェック
全りんの測定で、発色の前に酸化分解を行うのはなぜか。
試料中のりんには、有機物に結びついた形や重合した形のものが含まれ、そのままでは発色試薬と反応しないためです。酸化分解ですべてをりん酸イオンにそろえてから発色させることで、総量として測れます。
アスコルビン酸溶液が流路の下流側に入るのはなぜか。
アスコルビン酸は還元剤で、モリブデン酸を含む酸性試薬と反応した液を還元して青色に仕上げる役割だからです。上流に置くと酸化分解を妨げてしまい、測定が成立しません。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月