平成30年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問12を解説|活性汚泥による酸化分解の反応式(係数は炭素・水素・酸素の順に決める)
平成30年度 汚水処理特論 問12は、微生物がぶどう糖を最後まで分解しきったときの物質のつり合いを、化学反応式の係数として答える組合せ問題です。正しい組合せを選びます。
この問題のポイント
水処理の知識を問うているように見えて、実際に使う道具は化学の基本ひとつだけです。反応の前と後で、原子は姿を変えるだけで増えも減りもしない。この一点から、消費される酸素、生じる二酸化炭素、生じる水の三つの係数が順に決まります。分かれ目は、酸素の係数を左辺の酸素原子だけで考えてしまうところ。酸素は分解される有機物の中にも最初から含まれているので、その分を差し引かないと必要な酸素の量を多く見積もってしまいます。数を数える順番を決めておけば、暗算でも片が付きます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)
三つの係数の求め方
| 係数 | 値 | 読み解き |
|---|---|---|
| 二酸化炭素 | 6 | 炭素の行き先は二酸化炭素だけ。ぶどう糖1個の炭素は6個なので、そのまま6個できます。 |
| 水 | 6 | 水素の行き先は水だけ。水素12個に対し、水1個は水素を2個使うので6個です。 |
| 酸素 | 6 | 右辺の酸素は合計18個。うち6個はぶどう糖が持ち込むので、外から補うのは12個=酸素分子6個です。 |
整った式は次のようになります。
C6H12O6 + 6O2 → 6CO2 + 6H2O
三つとも6でそろう組合せは選択肢(4)です。
ここが分かれ目
この手の式は、行き先が一つしかない原子から決めるのが鉄則です。炭素は二酸化炭素にしかならず、水素は水にしかならないので、この二つは数えるだけで即決します。最後に残るのが酸素で、ここだけが両辺の三か所(外から入る酸素分子、二酸化炭素の中、水の中)に散らばっているため、引き算が必要になります。
つまずくのはまさにその引き算です。生成物側の酸素原子の合計をそのまま外から供給する酸素と見なしてしまうと、必要な酸素を多く数えることになります。分解される有機物そのものが酸素を抱えているぶん、外から与える酸素は少なくて済むからです。外から補う酸素=右辺の酸素の合計から、有機物が持ち込む酸素を引いた残り。この関係を式の形で持っておけば、有機物が変わっても同じ手順で処理できます。
ぶどう糖のような糖には、覚えておくと速い性質があります。炭素と水がちょうど同じ数だけ組み合わさった組成になっているため、必要な酸素分子・生じる二酸化炭素・生じる水の三つが、いずれも炭素の数と同じ値でそろうのです。桁の大きい糖が出てきても、炭素の数さえ読めれば三つの係数が同時に決まります。糖は炭素の数がそのまま三つの係数になると覚えておくと、検算にも使えます。
なお、原子の種類が増えても手順は変わりません。窒素を含む有機物であれば、窒素の行き先を加えて同じように両辺で数を合わせるだけです。式を丸暗記しても、別の有機物が出た瞬間に手が止まります。数え方の順番を身につけることが、この種の設問への備えになります。
覚え方
- 係数合わせは行き先が一つの原子から。炭素、次に水素、最後に酸素。
- 水素の数の半分が水の係数。水1個は水素を2個使うから。
- 外から要る酸素は、生成物の酸素の合計から有機物が持つ酸素を引いた残り。
- 糖は炭素の数がそのまま酸素・二酸化炭素・水の三つの係数になる。
- 原子は反応の前後で増えも減りもしない。迷ったら数を数え直す。
理解度チェック
化学反応式の係数を合わせるとき、どの原子から手を付けるとよいか。
行き先が一つしかない原子からです。炭素は二酸化炭素、水素は水にしかならないので先に確定でき、両辺に散らばる酸素を最後に回すと引き算一回で片が付きます。
外から供給すべき酸素の量は、どう計算するか。
生成物に含まれる酸素原子の合計から、分解される有機物が持ち込む酸素原子を差し引き、残りを酸素分子の数に直します。有機物が酸素を含む分だけ、外から与える酸素は少なくて済みます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月