平成30年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問4を解説|加圧浮上分離装置(水温が上がると空気は溶けにくい)
平成30年度 汚水処理特論 問4は、微細な気泡を粒子にくっつけて水面へ持ち上げる装置の性質と付属設備についての正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
五つの記述は、どんな粒子が向いているか、圧力をかけて空気を溶かす槽まわりの付帯設備、他の固液分離法と比べたときの装置の大きさ、浮いてきたものの取り出し方と、装置を一周する内容になっています。四つは加圧浮上分離の基本を素直に述べたものです。分かれ目になるのは、空気が水にどれだけ溶けるかを左右する条件を述べた一つで、圧力を固定したうえで温度を動かしたときに溶解量がどちらへ動くかが問われています。気体の溶けやすさと温度の関係を逆に覚えていると、そのまま失点します。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 水になじみにくい表面ほど気泡が付着して離れにくく、粒子を持ち上げる力が働きやすくなります。 |
| (2) | ○(正しい) | 溶けきらなかった空気が槽の上部にたまると溶解効率が落ちるため、頂部から抜く弁が必要です。 |
| (3) | ×(誤り) | 圧力が同じなら、水温が高いほど空気の溶解量は大きくではなく小さくなります。これが正解です。 |
| (4) | ○(正しい) | 気泡を抱えた粒子が浮き上がる速さは自然に沈む速さより大きく、その分だけ槽を小さくできます。 |
| (5) | ○(正しい) | 水面に集まった浮きかすは放置すると再び沈むため、かき寄せて槽外へ出す機構が要ります。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
気体が水にどれだけ溶けるかは、圧力が高いほど多く、温度が高いほど少ないという二つの向きで決まります。加圧浮上分離が「加圧」を名乗るのは、前者を利用して常圧よりずっと多くの空気を水に溶かし込むからです。そのうえで溶解水を大気圧側へ放出すると、抱えきれなくなった空気が無数の微細気泡となって出てきて、粒子やフロックに付着して水面へ運びます。ここで「水温が高くなれば溶解量は大きくなる」とするのは、圧力の効き方と温度の効き方を取り違えた説明です。温度が上がれば分子は水中にとどまりにくくなり、溶ける量はむしろ減ります。
この向きは実際の運転にそのまま現れます。同じ圧力で運転していても、夏場の水温が高い時期は溶け込む空気が減り、発生する気泡が少なくなって浮上分離の効率が落ちます。加圧水量を増やす、圧力を上げるといった調整が季節ごとに必要になるのはこのためです。やかんを火にかけると沸騰する前から細かい泡が壁面に付くのも、水温が上がって溶けていた空気が追い出される同じ現象です。
残る四つは、装置の構造と適用範囲をなぞった内容です。気泡は水になじみにくい面に付きやすいので、油分を含む粒子や繊維くずのように疎水性の表面をもつものが得意な相手になります。空気溶解槽の頂部に弁を置くのは、溶け残った空気が気相としてたまり、加圧水に混ざって粗大な泡になるのを防ぐためです。装置が小さくて済むのは、気泡を付けた粒子の上昇が重力沈降より速いからで、同じ処理量なら凝集沈殿より滞留時間を短くできます。そして水面に集まった浮きかすは、かき取らなければやがて崩れて沈むため、スキマーで連続的に槽外へ出す必要があります。
覚え方
- 気体の溶解量は圧力に比例、温度に反比例。加圧で溶かし、減圧で泡にする。
- 水温が上がる季節は泡が減る=浮上効率が落ちる、と結びつけて覚える。
- 気泡が付くのは水をはじく面。疎水性の粒子・油分が浮上分離の得意先。
- 沈殿は重力任せ、浮上は気泡で加勢。だから浮上のほうが槽は小さい。
- 浮かせたら必ずかき取る。取り残した浮きかすは沈んで処理水を汚す。
理解度チェック
同じ圧力条件で水温が上がると、空気の溶解量はどうなるか。
小さくなります。気体の溶解量は圧力が高いほど大きく、温度が高いほど小さくなります。加圧浮上分離では溶け込む空気が減って発生する微細気泡が少なくなるため、水温の高い時期は分離効率が落ちやすくなります。
加圧浮上分離装置の滞留時間が凝集沈殿法より短くできるのはなぜか。
微細気泡を付着させた粒子の上昇速度が、自然沈降の速度より大きいためです。同じ量の水を処理しても分離が早く終わるので、槽を小さく、滞留時間を短くできます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月