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平成29年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問11を解説|必要酸素量の計算(除去BOD分+内生呼吸分)

平成29年度 汚水処理特論 問11は、活性汚泥の処理施設で一日に送り込むべき酸素の量を求める計算問題です。正しいものを選びます。

この問題のポイント

与えられた式は二つの項の足し算で、片方は取り除いた有機物を分解するために要る酸素、もう片方は汚泥そのものが生き続けるために消費する酸素です。つまり汚水の側から来る量と、汚泥の側から来る量を別々に計算して合算するという構造になっています。分かれ目は単位のそろえ方で、片方は一日あたりの重さ、もう片方は槽の中に存在する重さです。濃度と体積を掛けてキログラムに直す作業を二回、性質の違うもの同士で行う点に落とし穴があります。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(3)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)×(誤り)29。内生呼吸に由来する項を半分に見積もると19+10でちょうどこの値になります。
(2)×(誤り)34。正しい合計より小さく、二つの項のどちらかを小さく取ると近づく側の値です。
(3)○(正しい)39。除去BODに由来する19と、槽内汚泥に由来する20の和です。これが正解です。
(4)×(誤り)44。曝気槽内の汚泥量を大きく見積もると、こちら側へ外れます。
(5)×(誤り)49。並んだ中で最も大きい値で、二つの係数のどちらかを大きく取り違えると上振れします。

計算の手順

手順内容
手順1 流入BOD量流入濃度200 mg/Lは0.2 kg/m3です。これに1日の水量200 m3を掛けて40 kg/日
手順2 除去BOD量手順1に除去率95%を掛けます。40×0.95=38 kg/日。式のLrはここまで絞った値です。
手順3 曝気槽内汚泥量MLSS濃度2000 mg/Lは2 kg/m3です。これに曝気槽の容量100 m3を掛けて200 kg。1日あたりではなく槽の中に存在する重さです。
手順4 第1項手順2に0.5を掛けます。38×0.5=19 kg/日。有機物の分解でエネルギーを得るために使う分です。
手順5 第2項手順3に0.1を掛けます。200×0.1=20 kg/日。汚泥が自らを維持するために使う分です。
手順6 合計19+20=39 kg/日。これが1日に送り込むべき酸素の量です。

ここが分かれ目

つまずきやすいのは第2項の単位です。曝気槽内汚泥量は「1日にいくら」ではなく「今そこに何キログラムあるか」という蓄積量で、これに毎日一定の割合で失われる分の係数を掛けることで、はじめて1日あたりの量に変わります。汚泥量をそのまま流量と掛け合わせて日あたりの値を作ろうとすると、桁が丸ごとずれます。濃度は槽の中の濃さであり、通り過ぎる水の濃さではないことを意識してください。

第1項でも除去率を掛け忘れて流入BOD量をそのまま使う誤りが起こります。酸素が必要になるのは実際に分解された有機物の分だけなので、入ってきた量ではなく減った量が掛け算の相手です。除去率が高いほど必要酸素量も増える、という向きで確かめられます。

この式が二項に分かれている意味も押さえておきましょう。前半は、汚泥が有機物を食べてエネルギーを取り出すときに使う酸素です。後半は、餌がなくても細胞が自分の体を分解しながら生きていくときに使う酸素で、こちらは汚泥をたくさん抱えているほど増えます。曝気槽のMLSS濃度を高く保つ運転は処理を安定させる一方で、送風の負担が重くなるという関係が、この第2項に現れています。

覚え方

  • 必要な酸素の量は除去した有機物の分+汚泥が生きる分の足し算。
  • 第1項の相手は除去BOD量。流入BOD量ではない。除去率を必ず掛ける。
  • 第2項の相手は槽内汚泥量=MLSS濃度×曝気槽容量。日あたりの量ではない。
  • mg/Lはそのままkg/m3の1000分の1。濃度×体積でkgに落としてから掛ける。
  • 汚泥を濃く抱えるほど、餌がなくても酸素は要る。曝気動力が増える理由。

理解度チェック

Q.

必要酸素量の式の第1項には、流入BOD量と除去BOD量のどちらを使いますか。

除去BOD量です。酸素が消費されるのは実際に分解された有機物の分だけなので、流入量に除去率を掛けた値を使います。掛け忘れると必要酸素量を多めに見積もることになります。

Q.

曝気槽内汚泥量はどのように求めますか。

MLSS濃度に曝気槽の容量を掛けます。単位はキログラムで、1日あたりの量ではなく槽の中に存在している量です。ここに1日あたりの消費割合を掛けて内生呼吸分の酸素量になります。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題・正解」(公式PDF