平成29年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問9を解説|流動焼却炉の砂を動かすのは空気
平成29年度 汚水処理特論 問9は、脱水した汚泥を焼いて減らす工程の条件と炉の構造を並べた正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
焼却で押さえるべきは、補助燃料に頼らずに燃え続けるための水分の上限、有害物の生成を抑えるための温度管理、そして代表的な三種類の炉が汚泥をどう動かすかという三点です。炉ごとに汚泥を動かす仕掛けは違い、砂の層で受け止める形、筒を回して転がす形、段になった床を往復させて落とす形があります。分かれ目は、砂の層をどうやって動かしているのかです。名前に流動とあるからといって、機械の羽根が中身をかき回している姿を思い浮かべると誤ります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 水を蒸発させるのに熱が食われるため、水分を十分に落とさないと燃料なしでは燃え続けません。 |
| (2) | ×(誤り) | 砂を動かすのは機械の羽根ではなく、炉底から吹き上げる空気です。これが正解です。 |
| (3) | ○(正しい) | 不完全燃焼と低温域の滞留を避けるため、燃焼室の温度を高く保つ管理が求められます。 |
| (4) | ○(正しい) | 汚泥と燃焼用空気が向かい合って進むことで、入口側から順に乾燥、着火、燃焼と移り変わります。 |
| (5) | ○(正しい) | 床が前後に動くことで汚泥が段を下りながら、乾燥から灰になるまでの過程を順に通ります。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
この炉の底には空気を吹き出す仕掛けが敷き詰められており、そこから送り込まれた燃焼用の空気が砂の層を下から突き上げることで、砂粒が互いに離れて沸き立つように動き回ります。この状態になった砂は液体のようにふるまい、投入された汚泥をたちまち巻き込んで、高温の砂粒との接触で一気に乾燥と着火を進めます。動力を与えているのは空気の流れであって、炉内に羽根や翼を差し込んで砂をかき混ぜているわけではありません。高温の砂の中に金属の可動部を置けば摩耗と熱で持ちませんし、そもそも空気の吹き上げだけで十分に混ざります。
この構造から、いくつもの利点が生まれます。炉の中に可動部分がないので故障が少なく、砂が熱を蓄えているため運転を止めても温度が下がりにくく、汚泥が砂と直に触れるので短時間で燃え尽きます。一方で、吹き込む空気の量を落とすと砂が沈んで層が動かなくなるため、風量の管理が運転の要になります。空気を止めれば流動も止まるという関係が、この炉の性格を端的に表しています。
他の記述も、それぞれの炉や条件の性格どおりです。水分が多いほど蒸発に熱を奪われるので、補助燃料なしで燃やすには脱水の程度が効いてきます。温度管理は、低温で燃やすと有害な化合物が生成しやすいことへの対策です。筒を寝かせて回す炉では、汚泥は転がりながら奥へ進み、向かい側から来る燃焼用空気に温められて乾き、やがて火がつきます。段状の床を往復させる炉では、汚泥が一段ずつ下りながら乾燥、燃焼、灰化と順に進みます。汚泥をどう動かすかという一点で三つの炉を並べると、構造の違いが整理できます。
覚え方
- 流動層を動かすのは空気。羽根でかき混ぜているのではない。
- 炉内に可動部がないのが利点。風量が落ちれば層は沈み、流動が止まる。
- 補助燃料なしで燃やすには、水分をどこまで落とせるかが勝負。
- 低温で燃やすと有害な化合物が生じやすい。温度を保つのが対策。
- 三つの炉は「砂で受ける/筒で転がす/段で下ろす」で覚える。
理解度チェック
流動焼却炉では、炉内の砂は何の力で動いていますか。
炉底から吹き上げる燃焼用の空気です。空気が砂の層を下から突き上げることで砂粒が離れて沸き立ち、液体のようにふるまいます。炉内に羽根や攪拌翼を置いているわけではなく、風量が落ちれば層は沈んで流動が止まります。
脱水汚泥を補助燃料なしで焼却するには、何が条件になりますか。
水分を十分に落としておくことです。水分が多いほど蒸発にエネルギーを奪われ、汚泥自身の発熱だけでは燃焼を保てなくなります。脱水の程度が足りなければ、その分を補助燃料で埋めることになります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月