平成29年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問8を解説|スクリュープレスにも凝集剤は要る
平成29年度 汚水処理特論 問8は、汚泥から水を搾り出す工程の薬品と機械について並べた正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
脱水機は形も動きもさまざまですが、共通の前提が一つあります。汚泥をそのまま搾っても、細かい粒子が水の通り道をふさいでしまい、水は出ていきません。だからどの機種でも、まず薬品で粒子を大きな塊にまとめ、塊のすき間から水が抜ける状態を作ってから機械にかけます。この下ごしらえを調質と呼びます。分かれ目は、強い圧力さえかければ下ごしらえを省けるのかという点です。圧力の強さと薬品の要否を結びつけて考えると、話が逆さになります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | いずれも水の通り道を確保するために汚泥へ混ぜ込む材料として使われます。 |
| (2) | ○(正しい) | 無機の薬品と高分子の薬品を、汚泥の性状や機種に応じて使い分けます。 |
| (3) | ○(正しい) | 仕込み、加圧、ケーキ剥離を繰り返す回分式なので、1回転の時間設定が運転の基本になります。 |
| (4) | ○(正しい) | 重力で先に水を抜いて汚泥を固めてから、ロールで挟んで搾る二段構えです。 |
| (5) | ×(誤り) | 薬品での調質は省けません。強い圧力で押し切る機種でもない点も実際と違います。これが正解です。 |
選択肢(5)のポイント(ここが誤り)
この機種は、円筒状のスクリーンの中で軸をゆっくり回し、進むにつれて空間が狭くなる構造によって、汚泥を少しずつ押し縮めながら水を絞り出します。回転が遅いこと、圧力が急に立ち上がらないこと、そして密閉された筐体で臭いが出にくいことが持ち味で、低速・低圧で長い時間をかけて搾るのがこの方式の性格です。したがって大きな圧力で一気に押し切る機種だという説明自体が、この方式の性格と食い違います。
より重大なのは薬品の扱いです。下水汚泥のように細かく水を抱え込んだ汚泥は、あらかじめ高分子凝集剤で丈夫な塊に育てておかなければ、スクリーンの目をたちまち塞いでしまいます。塊が崩れやすければ、搾っている途中で泥が目に入り込み、水の抜け道が消えて脱水そのものが止まります。薬品なしで下水汚泥を搾れるという記述は、脱水の前提である調質を丸ごと落としている点で誤りです。この方式では、機械が緩やかにしか力をかけない分だけ、むしろ塊の丈夫さが仕上がりを左右します。
他の記述はいずれも脱水の定石どおりです。粒子が細かすぎて水の通り道が失われる汚泥には、ケイ藻土や繊維のような硬い材料を混ぜて骨組みを作ります。薬品は、無機の塩で粒子どうしの反発を消してから高分子で橋渡しさせる組合せが基本です。板を並べて閉じ、圧をかけ、開いてケーキを落とす機種は運転が回分になるため、1回の周期をどう組むかが処理量を決めます。ロールで挟む機種は、いきなり挟むと泥が横から逃げるので、先に重力で水を抜いて形が崩れない状態にしてから挟みます。
覚え方
- どの脱水機も、薬品で塊にする調質が前提。圧力で調質を代替できない。
- スクリュープレスは低速・低圧・長時間。強圧で押し切る機種ではない。
- 薬品は「無機で反発を消す → 高分子で橋渡し」の二段構え。
- 板を締めて開く機種は回分運転。1周期の時間割が処理量を決める。
- ロールで挟む前には重力で予備濃縮。形が崩れる汚泥は挟めない。
理解度チェック
スクリュープレス型の脱水機で、下水汚泥に高分子凝集剤を加えるのはなぜですか。
汚泥を丈夫な塊に育ててスクリーンの目詰まりを防ぐためです。この機種は低速で緩やかに圧をかけるため、塊が崩れると泥が目に入り込んで水の抜け道が失われます。圧力を強くすれば薬品を省けるという関係にはありません。
ろ過助剤は何のために汚泥へ混ぜますか。
汚泥の中に水の通り道となる骨組みを作るためです。粒子が細かい汚泥は搾ると目詰まりして水が出なくなりますが、ケイ藻土やおがくず、繊維質のような硬い材料を混ぜておくと、その隙間を通って水が抜けやすくなります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月