平成29年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問2を解説|沈殿池の除去率は沈降速度と水面積負荷の比
平成29年度 汚水処理特論 問2は、理想的な条件を置いた横流式沈殿池でどれだけの粒子が捕まるかを求める計算問題です。最も近い値を選びます。
この問題のポイント
池の中を水が真っ直ぐ流れ、粒子は一定の速さで沈み続ける——そう仮定すると、捕まえられるかどうかは池の深さにも滞留時間にも左右されず、単位面積の水面が1日に受け持つ水量だけで決まります。この量は速度と同じ次元をもち、これより速く沈む粒子はすべて底に達し、これより遅い粒子は一部しか届きません。分かれ目は時間の単位で、与えられる水量は1日当たり、沈む速さは1分当たりというように、そろっていない形で示されます。そろえないまま割り算をすると、桁が大きくずれます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(72%)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | × | 60%。沈む速さと受け持ち水量の比がこの値になる組合せではありません。 |
| (2) | ○ | 72%。沈降速度を水面積負荷で割った値と一致します。これが正解です。 |
| (3) | × | 84%。比を過大に見積もったときに近づく値です。 |
| (4) | × | 96%。沈む速さが受け持ち水量にほぼ並ぶ場合の値で、ここでは並びません。 |
| (5) | × | 100%。沈む速さが受け持ち水量以上なら全量が捕まりますが、この条件では届きません。 |
計算の手順
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 手順1 受け持ち水量を出す | 1日に流れ込む水量を池の水面の広さで割ります。400 ÷ 20 = 20 なので、水面1平方メートルが1日に20立方メートルを受け持つ計算です。 |
| 手順2 速度の形に読み替える | 手順1の値は、1日に20メートル進む速さと同じ意味を持ちます。これが水面積負荷で、沈降速度と直接比べられる量です。 |
| 手順3 時間の単位をそろえる | 1日は1440分なので、20メートル毎日は2000センチメートル毎日、すなわち約1.39センチメートル毎分になります。 |
| 手順4 比を取る | 粒子が沈む速さを手順3の値で割ります。1 ÷ 1.39 ≒ 0.72 で、除去率は約72%です。 |
| 手順5 向きを確かめる | 沈む速さのほうが遅いので除去率は100%未満になります。逆に沈む速さが上回れば全量が捕まり、100%になります。 |
ここが分かれ目
理想沈殿池の考え方では、粒子は入口で水面から底まで一様にばらまかれ、水平方向には水と同じ速さで運ばれながら、鉛直方向には自分の沈降速度でまっすぐ落ちていきます。出口に着くまでに底へ届いた粒子だけが捕まるので、捕まる割合は「沈降速度 ÷ 水面積負荷」という一本の式で書けます。池を深くしても、その分だけ落ちる距離が伸びるので結果は変わりません。効くのは水面の広さだけです。沈殿池を大きくするとは、深さではなく面を広げることだと覚えてください。
間違いの多くは単位から生まれます。水量は1日当たり、沈む速さは1分当たりで示されるのが定番で、そのまま割ると答えが千倍単位で狂います。1日を1440分に直す一手を省くと、桁がまるごとずれた選択肢に吸い寄せられます。また、比が1を超えたときに「100%より大きい除去率」を書いてしまうのも典型的な失敗です。比が1以上なら答えは100%で頭打ちになります。
実務でも同じ式が働きます。流入水量が増えれば水面積負荷が上がり、それまで捕まっていた細かい粒子が抜け始めます。雨天時に処理水の濁りが増えるのはこのためで、対策は面積を増やすか、凝集剤で粒子を大きくして沈む速さそのものを上げるかの二択になります。
覚え方
- 除去率=沈降速度÷水面積負荷。1を超えたら100%で頭打ち。
- 水面積負荷は「水量÷水面の広さ」。速度と同じ次元だから沈降速度と直接比べられる。
- 深さは効かない、面積が効く。沈殿池を強くしたいなら広げる。
- 1日は1440分。日当たりと分当たりをそろえてから割る。
- 流量が増える=水面積負荷が上がる=細かい粒子から抜けていく。
理解度チェック
理想的な横流式沈殿池で、捕まる粒子の割合を決めるのは何ですか。
沈降速度と水面積負荷の比です。水面積負荷は流入水量を池の水面の広さで割った値で、速度と同じ次元を持ちます。沈降速度がこれ以上なら全量が捕まり、これ未満ならその比の割合だけが捕まります。
沈殿池を深くすると、捕まる粒子の割合は増えますか。
理想沈殿の考え方では上がりません。深くすると滞留時間は延びますが、粒子が底へ届くまでに落ちる距離も同じだけ延びるため、差し引きゼロになります。除去率を上げたいときは水面の広さを増やすか、凝集によって沈降速度そのものを大きくします。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月