平成29年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問1を解説|水を絞った工場ほど原単位は小さい
平成29年度 汚水処理特論 問1は、工場の汚水をどう減らし、どう処理するかという計画づくりの基本を並べた正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
五つの記述のうち四つは、水処理設備を大きくする前にやるべきことを述べています。すなわち、そもそも汚れた水を出さない、出す量を絞る、出方のむらをならす、という発生源側の工夫です。装置で汚れを取るのは最後の砦であって、先に工程側で手を打つほど設備は小さく安く済みます。分かれ目になるのは、その努力の成果を測るものさしの向きです。工程を改善した工場では、この指標は増える方向に動くのか減る方向に動くのか。ここを反対に読ませるのが、この問題の仕掛けです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 装置の図面を引く前に、工程側で汚水の量と汚れの濃さを削っておくのが順序です。 |
| (2) | ×(誤り) | 増減の向きが逆です。水の使い方を改めた工場ほど、この指標は小さくなります。これが正解です。 |
| (3) | ○(正しい) | 原料が製品になる割合が上がれば、その分だけ系外へ逃げて汚れになる量が減ります。 |
| (4) | ○(正しい) | 洗浄槽を継ぎ足すほど、同じきれいさを保つのに要る水は少なくて済みます。 |
| (5) | ○(正しい) | 一時ためて山と谷をならせば、後段の装置を設計どおりの条件で運転できます。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
ここでいう指標は、製品を一つ作るのに何立方メートルの汚水を出したか、という割り算の値です。分母が生産量、分子が汚水量ですから、生産量が同じまま汚水量だけ減れば値は小さくなります。冷却水を捨てずに回す、すすぎに使った水をもう一度別の工程で使う、洗浄の段数を増やして少ない水で同じきれいさを出す。こうした工夫はどれも分子だけを縮める働きをします。したがって工程を磨いた工場ほど値は下がり、無頓着な工場ほど値は上がります。手を入れた工場のほうが値が大きくなるという説明は、この割り算の向きを取り違えたものです。
この指標が下がることには、二重の意味があります。一つは排出そのものが減ること。もう一つは、処理しなければならない水の総量が減るので、処理設備が小さくて済み、薬品も動力も節約できることです。逆に、汚れの総量が変わらないまま水量だけを減らすと濃度は上がりますが、濃い水のほうが少ない設備で処理できる場合も多く、薄めて量を増やす対応は望ましくありません。薄めて濃度を下げる操作は、汚濁負荷そのものを減らしていない点を押さえてください。
残る四つも、同じ「発生源で減らす」という筋で読めます。設計に入る前の工程見直し、歩留まりの向上、洗浄槽の多段化、そして流量と濃度の平均化。いずれも装置を大きくせずに結果を出す手であり、汚水等処理計画の出発点はここに置かれます。
覚え方
- 生産量当たりの汚水量は、改善が進むほど小さくなる。指標の向きを取り違えない。
- 順番は「まず発生源で減らす、次に平均化、最後に処理装置」。装置は最後の手段。
- 歩留まり向上は、品質の話であると同時に汚濁負荷を減らす対策でもある。
- 洗浄は段数を増やすほど少ない水で足りる。段数と水量はトレードオフ。
- 薄めて濃度を下げるのは対策ではない。負荷は量と濃度の積で見る。
理解度チェック
生産量当たりの汚水量を表す指標は、水の使い方を合理化した工場ではどう変化しますか。
小さくなります。分母の生産量が変わらないまま、分子の汚水量だけが減るためです。回収・再利用や洗浄の多段化はいずれも分子を縮める工夫なので、水の使い方を改めた工場ほど値は下がります。
汚水対策を検討するとき、処理設備の図面を引く前にやるべきことは何ですか。
工程側で汚水の量と汚れの濃さを減らすことです。原料の歩留まりを上げる、水を回して使う、洗浄の段を重ねるといった手当てを先に打てば、必要な設備は小さくなり、薬品や動力の負担も軽くなります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月