平成30年度 公害防止管理者 公害総論 問3を解説|環境基準の類型当てはめは誰が行うか(市の長と都道府県知事)
平成30年度 公害総論 問3は、環境基本法が定める環境基準に関する条文中、下線を付した用語(a〜j)の組合せのうち誤りを含むものを選ぶ問題です。
この問題のポイント
この問題は、環境基準そのものの中身ではなく、環境基準の類型を当てはめる地域・水域の指定を誰が行うかという事務分担を条文どおりに読めているかを問うています。引っかけの核心は、騒音の類型当てはめにおける「市の長」と「都道府県知事」の役割が入れ替えられている点です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(誤りを含む組合せ)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | a「政府」・e「市に属するもの」。環境基準を定めるのは政府であり、イの対象は騒音の類型を当てはめる地域のうち市に属するものです。いずれも条文どおりで、誤りを含みません。 |
| (2) | ○(正しい) | b「土壌の汚染及び騒音」・j「総合的かつ有効適切」。環境基準の対象は大気の汚染・水質の汚濁・土壌の汚染・騒音の4つ、施策は総合的かつ有効適切に講じます。いずれも条文どおりです。 |
| (3) | ○(正しい) | c「維持されることが望ましい基準」・h「常に適切な」。環境基準は維持されることが望ましい基準であり、常に適切な科学的判断が加えられます。いずれも条文どおりです。 |
| (4) | ○(正しい) | d「政令」・i「公害の防止」。二以上の都道府県にわたる地域・水域は政令で定めるものが対象で、講ずべき施策は公害の防止に関係するものです。いずれも条文どおりです。 |
| (5) | ×(誤り) | f「都道府県の知事」・g「市の長」。この2つが入れ替わっています。騒音の類型を当てはめる地域であって市に属するものは市の長、それ以外の地域・水域は都道府県知事が指定事務を行います。 |
ここが分かれ目
環境基準の類型を当てはめる地域・水域の指定は、三段構えで割り振られています。まず二以上の都道府県にわたる地域・水域で政令で定めるものは政府。それ以外は、騒音に係る基準(航空機騒音・新幹線鉄道騒音に係る基準を除く)の類型を当てはめる地域であって市に属するものを市の長が、それ以外の地域・水域を都道府県知事が担当します。
設問はこのイとロを入れ替え、市に属する地域の騒音を都道府県知事に、それ以外を市の長に割り当てています。「都道府県知事のほうが上位だから広い範囲を持つはず」という感覚で読むと、入れ替えに気づかないまま通過してしまいます。騒音だけは市に近い側へ下ろされているという例外の形で押さえるのが安全です。
覚え方
- 類型当てはめの指定事務は三段構え。都道府県をまたぐ政令指定=政府/市に属する地域の騒音=市の長/それ以外=都道府県知事。
- 市の長へ下りるのは騒音だけ。大気・水質・土壌は市に属していても都道府県知事。
- 市の長の担当から外れる騒音=航空機騒音と新幹線鉄道騒音。広域の交通は市の手に余る、と紐づける。
理解度チェック
環境基準の類型を当てはめる地域のうち、市の長が指定事務を行うのはどの範囲ですか。
騒音に係る基準の類型を当てはめる地域であって、市に属するものです。ただし航空機の騒音と新幹線鉄道の列車の騒音に係る基準は除かれます。
二以上の都道府県の区域にわたる地域・水域の指定事務は、誰が行いますか。
政府です。ただし対象となるのは政令で定めるものに限られます。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 公害総論 問題」(公式PDF)
- 環境基本法(第16条)
※ この記事の確認日:2026年7月