平成29年度 公害防止管理者 公害総論 問14を解説|第3次削減計画の評価は5年ごと
平成29年度 公害総論 問14は、非意図的に生じる有機塩素化合物の排出削減の枠組みと実績に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
この問題は、削減の計画がどの段階に入っているかと、そこで採用された設計思想を押さえているかを問うものです。引っかけの核心は達成状況を確かめる間隔という一点で、計画の理念や目標年の扱いといった目立つ部分はすべて正しく置かれています。地味な数え方ほど狙われるという出題の癖に注意したいところです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 排出量を積み上げた目録では、廃棄物の焼却施設と金属の高温処理施設が大気への排出の上位に並びます。正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 実績が目標として置かれた量を下回る状態が続いており、達成が維持されています。正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | 大幅な削減が済んだ段階の計画であるため、改善した環境を悪化させないことを原則としています。正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | さらなる削減の余地が限られることから、期限を切らずに努力を続ける形がとられています。正しい記述です。 |
| (5) | ×(誤り) | 達成状況の評価は5年ごとに行うこととされており、これより長い間隔ではありません。 |
選択肢(5)のポイント(ここが誤り)
この物質の削減計画は段階を追って性格を変えてきました。第1次と第2次は排出量を大きく減らすための計画で、基準となる年からどれだけ下げるかという削減率と、達成すべき年を明示していました。実際に排出量は大幅に減り、対策の余地は絞られていきます。
そこで第3次は減った状態を守るための計画へと転換しました。過去数年の排出量の平均をもとに当面の目標量を置き、改善した環境を悪化させないことを原則とし、目標年は定めずに削減の努力を継続する、という組立てです。目標年を置かない代わりに、達成状況を定期的に確かめる仕組みが必要になり、その間隔が5年ごとと定められました。
評価の間隔をこれより長く引き伸ばすと、計画が目標年を持たないことと相まって、進捗を確かめる機会がほとんど失われます。目標年を定めない設計は、こまめな評価が伴ってはじめて成り立つという関係にあり、この選択肢はその要をずらしています。理念や目標年の扱いは正しく書かれているため、ここだけを見比べる目が必要です。
覚え方
- 第3次計画の三点セットは現状非悪化・目標年なし・定期評価で、評価の間隔は5年ごと。
- 第1次と第2次は減らす計画、第3次は守る計画。段階が違えば設計思想も変わる、と流れで捉える。
- 目標年を置かない計画には、必ず定期的な評価がセットで付く。片方だけの記述は疑う。
- 大気への排出で寄与が大きいのは廃棄物の焼却と金属の高温処理。燃やす工程と溶かす工程の二本柱。
理解度チェック
第3次の削減計画で採用された考え方を3点挙げられますか。
現状非悪化を原則とすること、目標年を定めずに削減努力を継続すること、達成状況の評価を5年ごとに行うことの3点です。削減が進んだ段階に合わせて、減らす計画から守る計画へ性格が変わっています。
大気への排出量が大きい施設として、どのようなものが挙げられますか。
一般廃棄物の焼却施設や製鋼用電気炉などです。有機物と塩素分が共存する状態で高温処理と冷却が行われる工程が、生成の主な場となります。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 公害総論 問題」(公式PDF)
- ダイオキシン類対策特別措置法
- 「我が国における事業活動に伴い排出されるダイオキシン類の量を削減するための計画」(平成24年8月変更)
- 環境省「ダイオキシン類の排出量の目録(排出インベントリー)」
※ この記事の確認日:2026年7月