平成29年度 公害防止管理者 公害総論 問15を解説|リスクの受容は評価ではなく対応の側
平成29年度 公害総論 問15は、危険性を管理する一連の手順のうち、どこまでが見極めの段階に当たるかに関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
この問題は、管理の手順を調べる部分と決めて動かす部分に切り分けられるかを問うものです。引っかけの核心は受け入れるという判断がどちら側に属するかという一点で、選択肢がいずれも似た体裁の用語で並んでいるため、意味を考えずに眺めると区別がつきません。カタカナ用語の丸暗記ではなく、手順の流れの中での位置で覚えたいところです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | そのまま受け入れると決める行為は、見極めた結果を踏まえて選ぶ処置であり、見極めそのものには含まれません。 |
| (2) | ○(正しい) | 何が危険の源になっているかを洗い出す作業で、一連の手順の入口に当たります。正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | 洗い出したものについて原因や源の性質を調べる作業で、分析の一部です。正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | 起きたときの影響の大きさと起こりやすさを見積もる作業も、同じく分析の一部です。正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 見積もった結果をあらかじめ定めた基準と照らし合わせ、対処の要否を判断する段階です。正しい記述です。 |
選択肢(1)のポイント(ここが誤り)
危険性の管理は、大きく見極めの部分と処置の部分の二つに分かれます。見極めの部分は、危険の源を洗い出し、その性質と起こりやすさ・影響の大きさを調べ、あらかじめ決めておいた基準と突き合わせるまで。ここまでが特定、分析、評価という三つの段階です。
これに対して処置の部分は、見極めの結果を受けてどう手を打つかを選ぶところから始まります。選べる道は、その活動そのものをやめる、発生確率や影響を小さくする、保険や契約で他者と分け合う、そしてそのまま抱えて受け入れるという四つです。受け入れるという判断は、対処しないことを積極的に選ぶ意思決定であって、調べる行為ではありません。
受け入れるという言葉が判断に見えるため、基準と照らす段階と混同されやすいのがこの問題の急所です。両者は、基準と照らして許容できるかどうかを判定するのが前者、判定を受けてどう振る舞うかを決めるのが後者、という関係にあります。受け入れると決めた時点で、すでに見極めは終わっていると考えれば取り違えません。
覚え方
- 見極めの三段は特定 → 分析 → 評価。この三語に当てはまらない項目が出たら処置の側と判断する。
- 処置の四つの道は、回避・低減・移転(共有)・保有(受容)。保有は処置の一つであって見極めではない。
- 分析は二つの物差し(起こりやすさと影響の大きさ)で測る作業、評価は基準と突き合わせる作業。役割が違う。
- 迷ったら、まだ調べている段階か、決めて動く段階かで切り分ける。動詞が調べる系なら見極め、選ぶ系なら処置。
理解度チェック
見極めの部分は、どのような段階で構成されますか。
リスク特定、リスク分析、リスク評価の3段階です。危険の源を洗い出し、その性質・起こりやすさ・影響の大きさを調べ、あらかじめ定めた基準と照らして許容できるかを判定します。
見極めの結果を受けて選ぶ処置には、どのような種類がありますか。
回避(活動そのものをやめる)、低減(発生確率や影響を小さくする)、移転・共有(保険や契約で他者と分け合う)、保有・受容(そのまま抱える)の4種類です。保有は処置の一つであり、見極めの段階には含まれません。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 公害総論 問題」(公式PDF)
- JIS Q 31000(リスクマネジメント-原則及び指針)/JIS Q 0073(リスクマネジメント-用語)
※ この記事の確認日:2026年7月