平成29年度 公害防止管理者 公害総論 問12を解説|工場の騒音対策の主役は距離減衰ではない
平成29年度 公害総論 問12は、発生源ごとにとられている音の低減の手立てに関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
この問題は、発生源の種類ごとに代表的な手立てが正しく対応づくかを問うものです。引っかけの核心は工場で何が対策の中心に据えられているかという一点で、確かに存在する現象を持ち出しつつ、それが主役であるかのように書かれています。対策には効き方の順位があり、上流ほど効果が大きいという構造を押さえておきたいところです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 工場で中心となるのは低騒音型機器への転換、防振、遮音、吸音、消音器の設置といった手立てです。離すことで下げる効果が主役に据えられているわけではありません。 |
| (2) | ○(正しい) | 自動車1台ごとに、加速走行、定常走行、近接排気の各状態について許容限度が定められています。正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | 成田国際空港では、緊急時などを除き夜間の離着陸が制限されています。正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | レール表面の凹凸を削って整える作業をより行き届いた形で行うことは、鉄道の音を下げる手立てとして実施されています。正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 商業宣伝などに使われる拡声機の音は、法律ではなく地方公共団体の条例によって規制されています。正しい記述です。 |
選択肢(1)のポイント(ここが誤り)
音源から遠ざかるほど音の大きさが下がるのは物理的な事実で、点状の音源なら距離が2倍で6dB、線状に並んだ音源なら3dB下がります。ただし工場の敷地には限りがあり、機械を敷地の奥へ移したところで稼げる距離はたかが知れています。距離で稼ぐ発想は、必要な低減量に届かないことがほとんどです。
そこで実際に行われるのは、音源そのものに手を入れる発生源対策と、音の通り道をふさぐ伝搬経路対策です。前者は低騒音型の機械への置き換え、回転部の不釣り合いの調整、防振ゴムによる振動の切り離し、排気口への消音器の取付けなど。後者は機械を建屋や防音カバーで囲う、内側に吸音材を貼る、敷地の境界に遮音塀を立てるといった手立てが該当します。
そもそも配置で距離を稼ぐという話は、機械や建物をどう据えるかという用地と配置の問題であって、技術で音を下げる手立てとは性格が異なります。現象として存在することと、対策の主役であることは別です。対策は音源に近いところで打つほど効くという順序で覚えてください。
覚え方
- 対策の効き方の順序は発生源 → 伝搬経路 → 受音側。上流ほど効果が大きく、下流ほど後手に回る。
- 工場の技術的な手立て=低騒音機器・防振・遮音・吸音・消音器。距離を稼ぐのは配置の話であって技術的対策ではない。
- 発生源ごとに代表策を1つずつ紐づける。自動車は単体の許容限度、航空機は発着時間の制限、鉄道はレールの手入れ。
- 拡声機や飲食店など身近な音は、法律ではなく条例が受け持つ。法律で規制と書かれていたら疑う。
理解度チェック
工場で行われる技術的な音の低減策には、どのようなものがありますか。
音源側では低騒音型機器への転換、防振、消音器の設置、通り道では防音カバーや建屋による囲い込み、吸音材の施工、遮音塀の設置です。距離を離す方法は敷地に限りがあるため主役にはなりません。
自動車1台ごとに定められている音の規制には、どのような走行状態が含まれますか。
加速走行、定常走行、近接排気の3つです。走らせ方の違う状態それぞれについて許容限度が定められ、車両単体の性能が規制されています。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 公害総論 問題」(公式PDF)
- 騒音規制法/自動車騒音の大きさの許容限度
- 環境省「環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」(騒音・振動対策)
※ この記事の確認日:2026年7月