平成29年度 公害防止管理者 公害総論 問11を解説|重金属による土壌汚染は今も判明している
平成29年度 公害総論 問11は、土に残る有害物質の広がりと、地面が沈む現象の近年の状況に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
この問題は、二つの公害が今どういう段階にあるかという現状認識を問うものです。引っかけの核心はある原因物質の汚染がすでに過去のものになったかのように書かれている点で、他の選択肢が具体的な調査結果を淡々と述べているため、断定的な一文が紛れ込んでいても違和感を覚えにくくなっています。対策が進んだ公害ほど、すでに解決したと言い切りたくなる誘惑があることを意識しておきたいところです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 水質の環境基準に追加された物質が、土壌の側にも項目として加えられた経緯があります。正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 溶出量または含有量の基準を超える汚染が判明した事例は、毎年度まとまった数が報告されています。正しい記述です。 |
| (3) | ×(誤り) | 鉛やひ素などの重金属は判明事例の中で大きな部分を占め続けており、ほとんどみられないという評価は実態と逆です。 |
| (4) | ○(正しい) | 水準測量が行われた地域のうち、なお一定以上沈下した地域が残っています。正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 地下水の汲み上げ規制などの対策により、かつて激しく沈下した地域でも進行は鈍化しています。正しい記述です。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
土壌汚染は、有害物質を含む水を流した、あるいは地中にしみ込ませたという過去の行為の結果が、その場に残り続けるという性質を持っています。大気や水と違って流れ去らず、自然に分解もされないため、対策を施さない限り汚染は消えません。だからこそ、施設を廃止するときや土地を大きく掘り返すときに調査を義務づけ、その段階で古い汚染を掘り起こす仕組みになっています。
この仕組みで見つかる汚染の中心が、まさに鉛やひ素、ふっ素、六価クロムといった重金属等です。工場でめっきや顔料、金属加工に使われてきた歴史が長く、土に強く吸着して動きにくいため、何十年も前の操業に由来する汚染が今になって判明します。重金属による汚染がほとんどみられないという主張は、判明事例の内訳と正面から食い違います。
あわせて地盤沈下の側も見ておくと、こちらは汲み上げ規制という原因への直接の対策が効き、進行の勢いは大きく落ちました。ただし沈下が残る地域はなお存在し、いったん沈んだ地盤は元に戻りません。二つの公害はどちらも、対策が進んでも過去の蓄積が残るという点で共通しています。
覚え方
- 土壌汚染の判明事例で目立つのは鉛・ひ素・ふっ素などの重金属等。重金属の汚染が減ったと書かれていたら誤りを疑う。
- 土壌汚染の性質=流れ去らず、分解もされず、その場に蓄積する。だから古い汚染が後から見つかる。
- 調査のきっかけは、有害物質を使う施設の廃止時と、一定規模以上の土地の形質変更時。掘るときに見つかる、と流れで覚える。
- 地盤沈下は汲み上げ規制で鈍化したが、なくなってはいない。沈んだ地盤は戻らないので、監視は続く。
理解度チェック
土壌汚染で判明する事例の中心となっている原因物質は何ですか。
鉛、ひ素、ふっ素、六価クロムなどの重金属等です。土に強く吸着して動かないため、過去の操業に由来する汚染が今も見つかります。重金属汚染はほとんどないという記述は誤りです。
土壌汚染が、大気汚染や水質汚濁と性質の面で大きく違うのはどこですか。
蓄積性です。大気や水は流れて拡散し希釈されますが、土壌中の有害物質は移動せず分解もされないため、対策を行わない限りその場に残り続けます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 公害総論 問題」(公式PDF)
- 土壌汚染対策法/土壌の汚染に係る環境基準
- 環境省「土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果」
- 環境省「全国の地盤沈下地域の概況」
※ この記事の確認日:2026年7月